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STAT(2) | Linux Programmer's Manual | STAT(2) |
名前¶
stat, fstat, lstat - ファイルの状態を取得する書式¶
#include <sys/types.h>glibc 向けの機能検査マクロの要件 ( feature_test_macros(7) 参照):
_BSD_SOURCE ||
_XOPEN_SOURCE >= 500 ||
_XOPEN_SOURCE && _XOPEN_SOURCE_EXTENDED
|| /* glibc 2.10 以降: */
_POSIX_C_SOURCE >= 200112L
説明¶
これらの関数はファイルについての情報を返す。 ファイルそのものに対するアクセス許可は必要としないが、 — stat() と lstat() の場合には — そのファイルへ至る path を構成する全てのディレクトリに対する 実行 (検索) 許可が必要である。 stat() は path で指定されたファイルの状態を取得して buf へ格納する。struct stat { dev_t st_dev; /* ファイルがあるデバイスの ID */ ino_t st_ino; /* inode 番号 */ mode_t st_mode; /* アクセス保護 */ nlink_t st_nlink; /* ハードリンクの数 */ uid_t st_uid; /* 所有者のユーザ ID */ gid_t st_gid; /* 所有者のグループ ID */ dev_t st_rdev; /* デバイス ID (特殊ファイルの場合) */ off_t st_size; /* 全体のサイズ (バイト単位) */ blksize_t st_blksize; /* ファイルシステム I/O での ブロックサイズ */ blkcnt_t st_blocks; /* 割り当てられた 512B のブロック数 */ time_t st_atime; /* 最終アクセス時刻 */ time_t st_mtime; /* 最終修正時刻 */ time_t st_ctime; /* 最終状態変更時刻 */ };
st_dev フィールドは、このファイルが存在するデバイスを示す (マクロ major(3), minor(3) は、このフィールドのデバイス ID を分解するのに役立つだろう)。
- S_ISREG(m)
- 通常のファイルか?
- S_ISDIR(m)
- ディレクトリか?
- S_ISCHR(m)
- キャラクター・デバイスか?
- S_ISBLK(m)
- ブロック・デバイスか?
- S_ISFIFO(m)
- FIFO (名前付きパイプ) か?
- S_ISLNK(m)
- シンボリックリンクか? (POSIX.1-1996 にはない)
- S_ISSOCK(m)
- ソケットか? (POSIX.1-1996 にはない)
S_IFMT | 0170000 | ファイル種別を示すビット領域を表すビットマスク |
S_IFSOCK | 0140000 | ソケット |
S_IFLNK | 0120000 | シンボリックリンク |
S_IFREG | 0100000 | 通常のファイル |
S_IFBLK | 0060000 | ブロック・デバイス |
S_IFDIR | 0040000 | ディレクトリ |
S_IFCHR | 0020000 | キャラクター・デバイス |
S_IFIFO | 0010000 | FIFO |
S_ISUID | 0004000 | set-user-ID bit |
S_ISGID | 0002000 | set-group-ID bit (下記参照) |
S_ISVTX | 0001000 | スティッキー・ビット (下記参照) |
S_IRWXU | 00700 | ファイル所有者のアクセス許可用のビットマスク |
S_IRUSR | 00400 | 所有者の読み込み許可 |
S_IWUSR | 00200 | 所有者の書き込み許可 |
S_IXUSR | 00100 | 所有者の実行許可 |
S_IRWXG | 00070 | グループのアクセス許可用のビットマスク |
S_IRGRP | 00040 | グループの読み込み許可 |
S_IWGRP | 00020 | グループの書き込み許可 |
S_IXGRP | 00010 | グループの実行許可 |
S_IRWXO | 00007 | 他人 (others) のアクセス許可用のビットマスク |
S_IROTH | 00004 | 他人の読み込み許可 |
S_IWOTH | 00002 | 他人の書き込み許可 |
S_IXOTH | 00001 | 他人の実行許可 |
set-group-ID bit ( S_ISGID) にはいくつかの特殊な使用法がある: ディレクトリに設定した場合には、そのディレクトリが BSD 方式で使用される ことを示す。つまり、そのディレクトリに作成されたファイルのグループID は 作成したプロセスの実効 (effective) グループID ではなく、ディレクトリの グループID を継承する。また、そのディレクトリに作成されたディレクトリにも S_ISGID ビットが設定される。グループ実行ビット ( S_IXGRP) が設定されていないファイルに設定された場合は、 set-group-ID ビットはファイル/レコードの 強制的な (mandatory) ロックを表す。 ディレクトリにスティッキービット (S_ISVTX) が設定された場合は、 そのディレクトリのファイルの名前を変更したり、削除したりできるのは、 そのファイルの所有者か、そのディレクトリの所有者か、特権プロセス だけとなる。
返り値¶
成功した場合、0 が返される。 失敗した場合、 -1 が返され、 errno に適切な値がセットされる。エラー¶
- EACCES
- path が所属するディレクトリとその上位のディレクトリのいずれかに 対する検索許可がなかった ( path_resolution(7) も参照のこと)。
- EBADF
- fd が不正である。
- EFAULT
- アドレスが間違っている。
- ELOOP
- パスを辿る際に解決すべきシンボリックリンクが多過ぎた。
- ENAMETOOLONG
- path が長過ぎる。
- ENOENT
- path の構成要素が存在しないか、 path が空文字列である。
- ENOMEM
- カーネルのメモリが足りない。
- ENOTDIR
- path の前半部分 (prefix) の構成要素がディレクトリではない。
- EOVERFLOW
- (stat()) path が、ファイルサイズを off_t 型で表現できないファイルを 参照している。このエラーが起こるのは、32 ビットプラットフォーム上で -D_FILE_OFFSET_BITS=64 を指定せずにコンパイルされたアプリケーションが、 ファイルサイズが (1<<31)-1 ビットを超えるファイルに対して stat() を呼び出した場合である。
準拠¶
これらのシステムコールは SVr4, 4.3BSD, POSIX.1-2001 に準拠している。 stat() と fstat() コールは SVr4, SVID, POSIX, X/OPEN, 4.3BSD に準拠している。 lstat() コールは 4.3BSD と SVr4 に準拠している。他のシステム¶
各種システムで使用されていた(いる)値:16進 | 名前 | ls | 8進数 | 説明 |
f000 | S_IFMT | 170000 | ファイル種別フィールドのビットマスク | |
0000 | 000000 | SCO では 使用不能 inode; BSD では不明なファイル種別; SVID-v2 と XPG2 では 0 と 0100000 の両方が通常のファイル | ||
1000 | S_IFIFO | p| | 010000 | FIFO (名前付きパイプ) |
2000 | S_IFCHR | c | 020000 | キャラクタ特殊ファイル (V7) |
3000 | S_IFMPC | 030000 | 多重化されたキャラクタ特殊ファイル (V7) | |
4000 | S_IFDIR | d/ | 040000 | ディレクトリ (V7) |
5000 | S_IFNAM | 050000 | XENIX の二つの副型を持つ名前付きの特殊ファイル 副型は st_rdev の値 1, 2 で区別される | |
0001 | S_INSEM | s | 000001 | XENIX の IFNAM セマフォ副型 |
0002 | S_INSHD | m | 000002 | XENIX の IFNAM 共有データ副型 |
6000 | S_IFBLK | b | 060000 | ブロック特殊ファイル (V7) |
7000 | S_IFMPB | 070000 | 多重化されたブロック特殊ファイル (V7) | |
8000 | S_IFREG | - | 100000 | 通常ファイル (V7) |
9000 | S_IFCMP | 110000 | VxFS 圧縮ファイル | |
9000 | S_IFNWK | n | 110000 | ネットワーク特殊ファイル (HP-UX) |
a000 | S_IFLNK | l@ | 120000 | シンボリックリンク (BSD) |
b000 | S_IFSHAD | 130000 | Solaris の ACL 用の隠し inode (ユーザ空間からは見えない) | |
c000 | S_IFSOCK | s= | 140000 | ソケット (BSD; VxFS の "S_IFSOC") |
d000 | S_IFDOOR | D> | 150000 | Solaris の door ファイル |
e000 | S_IFWHT | w% | 160000 | BSD の空白ファイル (inode を使用しない) |
0200 | S_ISVTX | 001000 | スティッキービット: 使用後もスワップに残す (V7) 予約 (SVID-v2) ディレクトリ以外: ファイルをキャッシュしない (SunOS) ディレクトリの場合: 削除制限フラグ (SVID-v4.2) | |
0400 | S_ISGID | 002000 | 実行時の set-group-ID (V7) ディレクトリの場合: GID の伝搬に BSD 方式を使用する | |
0400 | S_ENFMT | 002000 | System V ファイルロックを強制する (S_ISGID と共有) | |
0800 | S_ISUID | 004000 | 実行時の set-user-ID (V7) | |
0800 | S_CDF | 004000 | ディレクトリがコンテキスト依存ファイル (HP-UX) |
注意¶
カーネル 2.5.48 以降では、 stat 構造体は 3 つのファイルのタイムスタンプ 関連のフィールドでナノ秒単位の精度に対応している。 glibc では、機能検査 マクロ _BSD_SOURCE か _SVID_SOURCE が定義された場合に、各フィールドの ナノ秒の情報を st_atim.tv_nsec という形式の名前で公開する。 これらのフィールドは POSIX.1-2008 で規定されており、 バージョン 2.12 以降の glibc では、 _POSIX_C_SOURCE が 200809L 以上の値で定義されるか、 _XOPEN_SOURCE が 700 以上の値で定義された場合に、 これらのフィールドが公開される。 上記のマクロのいずれも定義されていない場合、ナノ秒の値は st_atimensec という形式の名前で公開される。 秒より細かいタイムスタンプをサポートしていないファイルシステムでは、 ナノ秒のフィールドは 0 に設定される。背後のカーネル・インタフェース¶
時間の経過とともに、 stat 構造体のサイズが大きくなり、この影響で stat() には 3つのバージョンが存在する: sys_stat() (スロットは __NR_oldstat)、 sys_newstat() (スロットは __NR_stat)、 sys_stat64() (カーネル 2.4 で導入; スロットは __NR_stat64). glibc の stat() ラッパー関数はこれらの詳細をアプリケーションから隠蔽してくれる。 具体的には、カーネルが提供しているシステムコールのうち最新のバージョンを 起動し、古いバイナリの場合には必要に応じて返された情報を再構成 (repack) する。 fstat() と lstat() についても同様である。例¶
以下のプログラムは stat() を呼び出し、返ってきた stat 構造体のフィールドのいくつかを表示する。#include <sys/types.h> #include <sys/stat.h> #include <time.h> #include <stdio.h> #include <stdlib.h> int main(int argc, char *argv[]) { struct stat sb; if (argc != 2) { fprintf(stderr, "Usage: %s <pathname>\n", argv[0]); exit(EXIT_FAILURE); } if (stat(argv[1], &sb) == -1) { perror("stat"); exit(EXIT_FAILURE); } printf("File type: "); switch (sb.st_mode & S_IFMT) { case S_IFBLK: printf("block device\n"); break; case S_IFCHR: printf("character device\n"); break; case S_IFDIR: printf("directory\n"); break; case S_IFIFO: printf("FIFO/pipe\n"); break; case S_IFLNK: printf("symlink\n"); break; case S_IFREG: printf("regular file\n"); break; case S_IFSOCK: printf("socket\n"); break; default: printf("unknown?\n"); break; } printf("I-node number: %ld\n", (long) sb.st_ino); printf("Mode: %lo (octal)\n", (unsigned long) sb.st_mode); printf("Link count: %ld\n", (long) sb.st_nlink); printf("Ownership: UID=%ld GID=%ld\n", (long) sb.st_uid, (long) sb.st_gid); printf("Preferred I/O block size: %ld bytes\n", (long) sb.st_blksize); printf("File size: %lld bytes\n", (long long) sb.st_size); printf("Blocks allocated: %lld\n", (long long) sb.st_blocks); printf("Last status change: %s", ctime(&sb.st_ctime)); printf("Last file access: %s", ctime(&sb.st_atime)); printf("Last file modification: %s", ctime(&sb.st_mtime)); exit(EXIT_SUCCESS); }
関連項目¶
access(2), chmod(2), chown(2), fstatat(2), readlink(2), utime(2), capabilities(7), symlink(7)この文書について¶
この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.41 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。2012-05-07 | Linux |