.\" Copyright (c) 1998, 1999 Thorsten Kukuk (kukuk@vt.uni-paderborn.de) .\" Copyright (c) 2011, Mark R. Bannister .\" .\" This is free documentation; you can redistribute it and/or .\" modify it under the terms of the GNU General Public License as .\" published by the Free Software Foundation; either version 2 of .\" the License, or (at your option) any later version. .\" .\" The GNU General Public License's references to "object code" .\" and "executables" are to be interpreted as the output of any .\" document formatting or typesetting system, including .\" intermediate and printed output. .\" .\" This manual is distributed in the hope that it will be useful, .\" but WITHOUT ANY WARRANTY; without even the implied warranty of .\" MERCHANTABILITY or FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE. 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はテスト結果を反転させる。 つまり、指定された以外の全ての結果にマッチする。 キーワードの大文字、小文字は無視される。 .LP \fISTATUS\fP は、直前のサービス指定で呼び出しされた検索処理の結果に 対して照合が行われる。 \fISTATUS\fP には以下のいずれかを指定できる。 .RS 4 .TP 12 \fBsuccess\fP エラーは発生せず、要求されたエントリが返された。 この場合のデフォルトのアクションは "return" である。 .TP \fBnotfound\fP 検索は成功したが、要求されたエントリが見つからなかった。 この場合のデフォルトのアクションは "continue" である。 .TP \fBunavail\fP サービスが永続的に利用できない。 必要なファイルを読み込むことができない、 ネットワークサービスの場合には、サーバが利用できないとか、 サーバが問い合わせを許可していない、などが考えられる。 この場合のデフォルトのアクションは "continue" である。 .TP \fBtryagain\fP サービスが一時的に利用できない。 ファイルがロックされている、サーバがこれ以上接続を受け付けることができない、 などが考えられる。デフォル トのアクションは "continue" である。 .RE .LP \fIACTION\fP には以下のいずれかを指定できる。 .RS 4 .TP 12 \fBreturn\fP この時点で結果を返す。これ以上の検索処理は行われない。 .TP \fBcontinue\fP 次の検索処理を呼び出す。 .RE .SS "互換モード (compat)" NSS "compat" サービスは "files" と似ているが、システムにアクセスできる ユーザやネットグループ (netgroup) のメンバの指定に \fI/etc/passwd\fP で 特別なエントリを追加で使うことができる点が異なる。 このモードでは、以下のエントリを使うことができる。 .RS 4 .TP 12 \fB+\fP\fIuser\fP NIS パスワードマップの指定された \fIuser\fP を含める。 .TP \fB+@\fP\fInetgroup\fP 指定された \fInetgroup\fP の全ユーザを含める。 .TP \fB\-\fP\fIuser\fP NIS パスワードマップの指定された \fIuser\fP を除外する。 .TP \fB\-@\fP\fInetgroup\fP 指定された \fInetgroup\fP の全ユーザを除外する。 .TP \fB+\fP NIS パスワードマップのユーザのうち、 それまでに除外されていない全てのユーザを含める。 .RE .LP デフォルトでは、データ源は "nis" だが、 擬似データベース \fBpasswd_compat\fP, \fBgroup_compat\fP, \fBshadow_compat\fP ではデータ源として "nisplus" を指定することもできる。 .SH ファイル \fISERVICE\fP という名前のサービスは \fIlibnss_SERVICE.so.\fP\fBX\fP という 名前の共有オブジェクトライブラリで実装されている。 これは \fI/lib\fP に置かれる。 .RS 4 .TP 25 .PD 0 \fI/etc/nsswitch.conf\fP NSS の設定ファイル。 .TP \fI/lib/libnss_compat.so.\fP\fBX\fP "compat" ソースを実装したもの。 .TP \fI/lib/libnss_db.so.\fP\fBX\fP "db" ソースを実装したもの。 .TP \fI/lib/libnss_dns.so.\fP\fBX\fP "dns" ソースを実装したもの。 .TP \fI/lib/libnss_files.so.\fP\fBX\fP "files" ソースを実装したもの。 .TP \fI/lib/libnss_hesiod.so.\fP\fBX\fP "hesoid" ソースを実装したもの。 .TP \fI/lib/libnss_nis.so.\fP\fBX\fP "nis" ソースを実装したもの。 .TP \fI/lib/libnss_nisplus.so.\fP\fBX\fP "nisplus" ソースを実装したもの。 .PD .RE .SH 注意 \fInsswitch.conf\fP を利用するプロセスは、ファイルは一度しか読み込まない。 その後で nsswitch.conf が書き換えられても、そのプロセスは古い設定のままで 動作を継続する。 .LP 伝統的には、サービス情報の情報源は一つだけであり、 その設定ファイルの形式も一つであった (例えば \fI/etc/passwd\fP)。 一方で、 Network Information Service (NIS) や Domain Name Service (DNS) などの他の名前サービスが一般的になるに連れて、C ライブラリに埋め 込まれた固定順序ではなく、検索順序を柔軟に指定する方法が必要になった。 ネームサービススイッチ機構は、この問題に対するよりきれいな解決方法と なっている。ネームサービススイッチ機構は、 Sun Microsystems が Solaris 2 の C ライブラリで使った機構が基になっている。 .SH 関連項目 \fBgetent\fP(1), \fBnss\fP(5) .SH この文書について この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.41 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。