.\" Hey Emacs! This file is -*- nroff -*- source. .\" .\" This manpage is Copyright (C) 1992 Drew Eckhardt; .\" 1993 Michael Haardt, Ian Jackson. .\" 2008 Greg Banks .\" .\" Permission is granted to make and distribute verbatim copies of this .\" manual provided the copyright notice and this permission notice are .\" preserved on all copies. .\" .\" Permission is granted to copy and distribute modified versions of this .\" manual under the conditions for verbatim copying, provided that the .\" entire resulting derived work is distributed under the terms of a .\" permission notice identical to this one. .\" .\" Since the Linux kernel and libraries are constantly changing, this .\" manual page may be incorrect or out-of-date. The author(s) assume no .\" responsibility for errors or omissions, or for damages resulting from .\" the use of the information contained herein. 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Translate the source file. .\" .\"******************************************************************* .TH OPEN 2 2012\-05\-01 Linux "Linux Programmer's Manual" .SH 名前 open, creat \- ファイルやデバイスのオープン、作成を行う .SH 書式 .nf \fB#include \fP \fB#include \fP \fB#include \fP .sp \fBint open(const char *\fP\fIpathname\fP\fB, int \fP\fIflags\fP\fB);\fP \fBint open(const char *\fP\fIpathname\fP\fB, int \fP\fIflags\fP\fB, mode_t \fP\fImode\fP\fB);\fP \fBint creat(const char *\fP\fIpathname\fP\fB, mode_t \fP\fImode\fP\fB);\fP .fi .SH 説明 ファイルの \fIpathname\fP を与えると、 \fBopen\fP() はファイルディスクリプタを返す。 ファイルディスクリプタは、この後に続くシステムコール (\fBread\fP(2), \fBwrite\fP(2), \fBlseek\fP(2), \fBfcntl\fP(2) など) で使用される小さな非負の整数である。 このシステムコールが成功した場合に返されるファイルディスクリプタは そのプロセスがその時点でオープンしていないファイルディスクリプタの うち最小の数字のものとなる。 .PP デフォルトでは、新しいファイルディスクリプタは \fBexecve\fP(2) を実行した後も オープンされたままとなる (つまり、 \fBfcntl\fP(2) に説明がある \fBFD_CLOEXEC\fP ファイルディスクリプタフラグは最初は無効である; 後述の \fBO_CLOEXEC\fP フラグ を使うとこのデフォルトを変更することができる)。 ファイルオフセット (file offset) はファイルの先頭に設定される (\fBlseek\fP(2) 参照)。 .PP \fBopen\fP() を呼び出すと、「オープンファイル記述」 \fI(open file description)\fP が作成される。ファイル記述とは、システム全体の オープン中のファイルのテーブルのエントリである。 このエントリは、ファイルオフセットとファイル状態フラグ (\fBfcntl\fP(2) \fBF_SETFL\fP 操作により変更可能) が保持する。 ファイルディスクリプタはこれらのエントリの一つへの参照である。 この後で \fIpathname\fP が削除されたり、他のファイルを参照するように変更されたりしても、 この参照は影響を受けない。 新しいオープンファイル記述は最初は他のどのプロセスとも 共有されていないが、 \fBfork\fP(2) で共有が起こる場合がある。 .PP 引き数 \fIflags\fP には、アクセスモード \fBO_RDONLY\fP, \fBO_WRONLY\fP, \fBO_RDWR\fP のどれかひとつが入っていなければならない。 これらはそれぞれ読み込み専用、書き込み専用、読み書き用に ファイルをオープンすることを要求するものである。 .\" FIXME . Actually is it true that the "file status flags" are all of the .\" remaining flags listed below? SUSv4 divides the flags into: .\" * Access mode .\" * File creation .\" * File status .\" * Other (O_CLOEXEC, O_DIRECTORY, O_NOFOLLOW) .\" though it's not clear what the difference between "other" and .\" "File creation" flags is. (I've raised an Aardvark to see if this .\" can be clarified in SUSv4; 10 Oct 2008.) さらに、 \fIflags\fP には、ファイル作成フラグ (file creation flag) とファイル状態フラグ (file status flag) を 0 個以上「ビット単位の OR (bitwise\-or)」で 指定することができる。 \fIファイル作成フラグ\fP は \fBO_CREAT\fP, \fBO_EXCL\fP, \fBO_NOCTTY\fP, \fBO_TRUNC\fP である。 \fIファイル状態フラグ\fP は以下のリストのうち上記以外の残りのものである。 二種類のフラグの違いは、ファイル状態フラグの方は \fBfcntl\fP(2) を使ってその内容を取得したり (場合によっては) 変更したりできる点にある。 ファイル作成フラグとファイル状態フラグの全リストを以下に示す: .TP \fBO_APPEND\fP .\" For more background, see .\" http://bugs.debian.org/cgi-bin/bugreport.cgi?bug=453946 .\" http://nfs.sourceforge.net/ ファイルを追加 (append) モードでオープンする。 毎回の \fBwrite\fP(2) の前に \fBlseek\fP(2) を行ったかのように、ファイルポインタをファイルの最後に移動する。 NFS ファイルシステムで、 \fBO_APPEND\fP を使用すると、複数のプロセスがひとつのファイルに同時にデータを追加した場合、 ファイルが壊れてしまうことがある。 これは NFS が追加モードをサポートしていないため、 クライアントのカーネル (kernel) がそれをシミュレートしなければならないのだが、 競合状態を避けることはできないからである。 .TP \fBO_ASYNC\fP シグナル駆動 I/O (signal\-driven I/O) を有効にする: このファイルディスクリプタへの 入力または出力が可能になった場合に、シグナルを生成する (デフォルトは \fBSIGIO\fP であるが、 \fBfcntl\fP(2) によって変更可能である)。 この機能が使用可能なのは端末、疑似端末、ソケットのみであり、 (Linux 2.6 以降では) パイプと FIFO に対しても使用できる。 さらに詳しい説明は \fBfcntl\fP(2) を参照すること。 .TP \fBO_CLOEXEC\fP (Linux 2.6.23 以降) .\" This flag fixes only one form of the race condition; .\" The race can also occur with, for example, descriptors .\" returned by accept(), pipe(), etc. 新しいファイルディスクリプタに対して close\-on\-exec フラグを有効にする。 このフラグを指定することで、プログラムは \fBFD_CLOEXEC\fP フラグをセットするための \fBfcntl\fP(2) \fBF_SETFD\fP 操作を別途呼び出す必要がなくなる。 また、ある種のマルチスレッドのプログラムはこのフラグの使用は 不可欠である。なぜなら、個別に \fBFD_CLOEXEC\fP フラグを設定する \fBfcntl\fP(2) \fBF_SETFD\fP 操作を呼び出したとしても、あるスレッドがファイルディスクリプタを オープンするのと同時に別のスレッドが \fBfork\fP(2) と \fBexecve\fP(2) を実行するという競合条件を避けるのには十分ではないからである。 .TP \fBO_CREAT\fP .\" As at 2.6.25, bsdgroups is supported by ext2, ext3, ext4, and .\" XFS (since 2.6.14). ファイルが存在しなかった場合は作成 (create) する。 ファイルの所有者 (ユーザー ID) は、プロセスの実効ユーザー ID に設定される。 グループ所有権 (グループ ID) は、プロセスの実効グループ ID または親ディレクトリのグループ ID に設定される (これは、ファイルシステムタイプ、マウントオプション、 親ディレクトリのモードに依存する。 \fBmount\fP(8) で説明されているマウントオプション \fIbsdgroups\fP と \fIsysvgroups\fP を参照)。 .RS .PP \fImode\fP は新しいファイルを作成する場合に使用するアクセス許可 (permission) を指定する。 \fIflags\fP に \fBO_CREAT\fP が指定されている場合、 \fImode\fP を指定しなければならない。 \fBO_CREAT\fP が指定されていない場合、 \fImode\fP は無視される。 有効なアクセス許可は、普段と同じようにプロセスの \fIumask\fP によって修正され、作成されたファイルの許可は \fI(mode\ &\ ~umask)\fP となる。 このモードは、新しく作成されたファイルに対するそれ以降のアクセス にのみ適用される点に注意すること。 読み取り専用のファイルを作成する \fBopen\fP() コールであっても、 読み書き可能なファイルディスクリプタを返すことがありうる。 .PP \fImode\fP のために以下のシンボル定数が提供されている : .TP 9 \fBS_IRWXU\fP 00700 ユーザー (ファイルの所有者) に読み込み、書き込み、 実行の許可がある。 .TP \fBS_IRUSR\fP 00400 ユーザーに読み込みの許可がある。 .TP \fBS_IWUSR\fP 00200 ユーザーに書き込みの許可がある。 .TP \fBS_IXUSR\fP 00100 ユーザーに実行の許可がある。 .TP \fBS_IRWXG\fP 00070 グループに読み込み、書き込み、実行の許可がある。 .TP \fBS_IRGRP\fP 00040 グループに読み込みの許可がある。 .TP \fBS_IWGRP\fP 00020 グループに書き込みの許可がある。 .TP \fBS_IXGRP\fP 00010 グループに実行の許可がある。 .TP \fBS_IRWXO\fP 00007 他人 (others) に読み込み、書き込み、実行の許可がある。 .TP \fBS_IROTH\fP 00004 他人に読み込みの許可がある。 .TP \fBS_IWOTH\fP 00002 他人に書き込みの許可がある。 .TP \fBS_IXOTH\fP 00001 他人に実行の許可がある。 .RE .TP \fBO_DIRECT\fP (Linux 2.4.10 以降) このファイルに対する I/O のキャッシュの効果を最小化しようとする。このフラグを 使うと、一般的に性能が低下する。 しかしアプリケーションが独自にキャッシングを 行っているような 特別な場合には役に立つ。 ファイルの I/O はユーザー空間バッファ に対して直接行われる。 \fBO_DIRECT\fP フラグ自身はデータを同期で転送しようとはす るが、 \fBO_SYNC\fP フラグのようにデータと必要なメタデータの転送が保証されるわけ ではない。同期 I/O を保証するためには、 \fBO_DIRECT\fP に加えて \fBO_SYNC\fP を使用 しなければならない。下記の「注意」の節の議論も参照。 .sp ブロックデバイスに対する似通った意味のインターフェースが \fBraw\fP(8) で説明されている (但し、このインタフェースは非推奨である)。 .TP \fBO_DIRECTORY\fP .\" But see the following and its replies: .\" http://marc.theaimsgroup.com/?t=112748702800001&r=1&w=2 .\" [PATCH] open: O_DIRECTORY and O_CREAT together should fail .\" O_DIRECTORY | O_CREAT causes O_DIRECTORY to be ignored. \fIpathname\fP がディレクトリでなければオープンは失敗する。 このフラグは Linux 特有であり、 \fBopendir\fP(3) が FIFO やテープデバイスに対してコールされた場合の サービス不能 (denial\-of\-service) 攻撃を避けるために カーネル 2.1.126 で追加された。 しかしこれは \fBopendir\fP(3) の実装以外では使用するべきではない。 .TP \fBO_EXCL\fP この呼び出しでファイルが作成されることを保証する。このフラグが \fBO_CREAT\fP と 一緒に指定され、 \fIpathname\fP のファイルが既に存在した場合、 \fBopen\fP() は失敗 する。 .\" POSIX.1-2001 explicitly requires this behavior. これら二つのフラグが指定された際、シンボリックリンクは辿られない。 \fIpathname\fP がシンボリックリンクの場合、 シンボリックリンクがどこを指しているかに関わらず \fBopen\fP() は失敗する。 一般的には、 \fBO_CREAT\fP を指定せずに \fBO_EXCL\fP を使用した場合の \fBO_EXCL\fP の動作は規定されていない。 これには一つ例外があり、Linux 2.6 以降では、 \fIpathname\fP がブロックデバイスを参照している場合、 \fBO_CREAT\fP なしで \fBO_EXCL\fP を使用することができる。 システムがそのブロックデバイスを使用中の場合 (例えば、 マウントされているなど)、 \fBopen\fP() はエラー \fBEBUSY\fP で失敗する。 NFS では、 \fBO_EXCL\fP は、Linux 2.6 以降で NFSv3 以降を使っている場合でのみサポートされる。 \fBO_EXCL\fP サポートが提供されていない NFS 環境では、このフラグに頼って ロック処理を実行するプログラムは競合状態 (race condition) に出会う 可能性がある。 ロックファイルを使用して不可分 (atomic) なファイルロックを実現し、 NFS が \fBO_EXCL\fP をサポートしているかに依存しないようにしたい場合、 移植性のある方法は、同じファイルシステム上に他と名前の重ならない ファイル (例えばホスト名と PID を組み合わせた名前) を作成し、 \fBlink\fP(2) を使用してそのロックファイルへのリンクを作成することである。 \fBlink\fP(2) コールの返り値が 0 ならばロックに成功している。 あるいは、そのファイルに \fBstat\fP(2) を使用してリンク数 (link count) が 2 になっているかをチェックする。 そうなっていれば、同じくロックに成功しているということである。 .TP \fBO_LARGEFILE\fP (LFS) \fIoff_t\fP ではサイズを表せない (だだし \fIoff64_t\fP ではサイズを表せる)ファ イルをオープン可能にする。この定義を有効にするためには、(\fIどの\fPヘッダファイ ルをインクルードするよりも前に) \fB_LARGEFILE64_SOURCE\fP マクロを定義しなければ ならない。 32 ビットシステムにおいて大きなファイルにアクセスしたい場合、 (\fBO_LARGEFILE\fP を使うよりも) \fB_FILE_OFFSET_BITS\fP 機能検査マクロを 64 に セットする方が望ましい方法である (\fBfeature_test_macros\fP(7) を参照)。 .TP \fBO_NOATIME\fP (Linux 2.6.8 以降) .\" The O_NOATIME flag also affects the treatment of st_atime .\" by mmap() and readdir(2), MTK, Dec 04. ファイルに対して \fBread\fP(2) が実行されたときに、最終アクセス時刻 (inode の st_atime) を更新しない。 このフラグはインデックス作成やバックアッププログラムで使うことを意図している。 これを使うとディスクに対する操作を大幅に減らすことができる。 このフラグは全てのファイルシステムに対して有効であるわけではない。 その一例が NFS であり、サーバがアクセス時刻を管理している。 .TP \fBO_NOCTTY\fP \fIpathname\fP が端末 (terminal) デバイス \(em \fBtty\fP(4) 参照 \(em を指している 場合に、たとえそのプロセスが制御端末を持っていなくても、オープンしたファイル は制御端末にはならない。 .TP \fBO_NOFOLLOW\fP .\" The headers from glibc 2.0.100 and later include a .\" definition of this flag; \fIkernels before 2.1.126 will ignore it if .\" used\fP. \fIpathname\fP がシンボリックリンクだった場合、オープンは失敗する。 これは FreeBSD の拡張で、Linux には 2.1.126 より追加された。 pathname の前のコンポーネント (earlier component; 訳註: 最後のディレクトリセパレータより前の部分) が シンボリックリンクである場合には、それが指す先が参照される。 .TP \fBO_NONBLOCK\fP または \fBO_NDELAY\fP 可能ならば、ファイルは非停止 (nonblocking) モードでオープンされる。 \fBopen\fP() も、返したファイルディスクリプタに対する以後のすべての操作も呼び出 したプロセスを待たせることはない。 FIFO (名前付きパイプ) を扱う場合には \fBfifo\fP(7) も参照すること。 強制ファイルロック (mandatory file lock) やファイ ルリース (file lease) と組み合わせた場合の、 \fBO_NONBLOCK\fP の効果についての 議論は、 \fBfcntl\fP(2) を参照すること。 .TP \fBO_SYNC\fP ファイルは同期 (synchronous) I/O モードでオープンされる。 \fBopen\fP() が返したファイルディスクリプタに対して \fBwrite\fP(2) を行うと、必ず呼び出したプロセスをブロックし、 該当ハードウェアに物理的に書き込まれるまで返らない。 \fI以下の「注意」の章も参照。\fP .TP \fBO_TRUNC\fP ファイルが既に存在し、通常ファイルであり、 書き込み可モードでオープンされている (つまり、 \fBO_RDWR\fPまたは\fBO_WRONLY\fP の) 場合、長さ 0 に切り詰め (truncate) られる。 ファイルが FIFO または端末デバイスファイルの場合、 \fBO_TRUNC\fP フラグは無視される。 それ以外の場合、 \fBO_TRUNC\fP の効果は未定義である。 .PP これらの選択フラグのいくつかはファイルをオープンした後でも \fBfcntl\fP(2) を使用して変更することができる。 \fBcreat\fP() は \fIflags\fP に \fBO_CREAT|O_WRONLY|O_TRUNC\fP を指定して \fBopen\fP() を行うのと等価である。 .SH 返り値 \fBopen\fP() と \fBcreat\fP() は新しいファイルディスクリプタを返す。 エラーが発生した場合は \-1 を返す (その場合は \fIerrno\fP が適切に設定される)。 .SH エラー .TP \fBEACCES\fP ファイルに対する要求されたアクセスが許されていないか、 \fIpathname\fP のディレクトリ部分の何れかのディレクトリに検索許可がなかった。 またはファイルが存在せず、親ディレクトリへの書き込み許可がなかった。 (\fBpath_resolution\fP(7) も参照すること。) .TP \fBEEXIST\fP \fIpathname\fP は既に存在し、 \fBO_CREAT\fP と \fBO_EXCL\fP が使用された。 .TP \fBEFAULT\fP \fIpathname\fP がアクセス可能なアドレス空間の外を指している。 .TP \fBEFBIG\fP \fBEOVERFLOW\fP 参照。 .TP \fBEINTR\fP 遅いデバイス (例えば FIFO、 \fBfifo\fP(7) 参照) のオープンが完了するのを待って停止している間に システムコールがシグナルハンドラにより割り込まれた。 \fBsignal\fP(7) 参照。 .TP \fBEISDIR\fP \fIpathname\fP はディレクトリを参照しており、書き込み要求が含まれていた (つまり \fBO_WRONLY\fP または \fBO_RDWR\fP が設定されている)。 .TP \fBELOOP\fP \fIpathname\fP を解決する際に遭遇したシンボリックリンクが多過ぎる。 または \fBO_NOFOLLOW\fP が指定されており、 \fIpathname\fP がシンボリックリンクだった。 .TP \fBEMFILE\fP プロセスがオープンしているファイル数がすでに最大数に達している。 .TP \fBENAMETOOLONG\fP \fIpathname\fP が長過ぎる。 .TP \fBENFILE\fP オープンされているファイルの総数がシステムの制限に達している。 .TP \fBENODEV\fP \fIpathname\fP がデバイススペシャルファイルを参照しており、対応するデバイスが存在しない。 (これは Linux カーネルのバグであり、この場合には \fBENXIO\fP が返されるべきである) .TP \fBENOENT\fP \fBO_CREAT\fP が設定されておらず、かつ指定されたファイルが存在しない。 または、 \fIpathname\fP のディレクトリ部分が存在しないか壊れた (dangling) シンボリックリンクである。 .TP \fBENOMEM\fP 十分なカーネルメモリーがない。 .TP \fBENOSPC\fP \fIpathname\fP を作成する必要があるが、 \fIpathname\fP を含んでいるデバイスに新しいファイルのための空き容量がない。 .TP \fBENOTDIR\fP \fIpathname\fP に含まれるディレクトリ部分のどれかが実際にはディレクトリでない。 または \fBO_DIRECTORY\fP が指定されており、 \fIpathname\fP がディレクトリでない。 .TP \fBENXIO\fP \fBO_NONBLOCK\fP | \fBO_WRONLY\fP が設定されており、指定したファイルが FIFO で そのファイルを読み込みのためにオープンしているプロセスが存在しない。 または、ファイルがデバイススペシャルファイルで 対応するデバイスが存在しない。 .TP \fBEOVERFLOW\fP .\" See http://bugzilla.kernel.org/show_bug.cgi?id=7253 .\" "Open of a large file on 32-bit fails with EFBIG, should be EOVERFLOW" .\" Reported 2006-10-03 \fIpathname\fP が参照しているのが、大き過ぎてオープンできない通常のファイルである。 通常、このエラーが発生するは、32 ビットプラットフォーム上で \fI\-D_FILE_OFFSET_BITS=64\fP を指定せずにコンパイルされたアプリケーションが、ファイルサイズが \fI(2<31)\-1\fP ビットを超えるファイルを開こうとした場合である。 上記の \fBO_LARGEFILE\fP も参照。 これは POSIX.1\-2001 で規定されているエラーである。 2.6.24 より前のカーネルでは、Linux はこの場合にエラー \fBEFBIG\fP を返していた。 .TP \fBEPERM\fP .\" Strictly speaking, it's the file system UID... (MTK) \fBO_NOATIME\fP フラグが指定されたが、呼び出し元の実効ユーザー ID が ファイルの所有者と一致せず、かつ呼び出し元に特権 (\fBCAP_FOWNER\fP) がない。 .TP \fBEROFS\fP \fIpathname\fP が読み込み専用のファイルシステム上のファイルを参照しており、 書き込みアクセスが要求された。 .TP \fBETXTBSY\fP \fIpathname\fP が現在実行中の実行イメージを参照しており、書き込みが要求された。 .TP \fBEWOULDBLOCK\fP \fBO_NONBLOCK\fP フラグが指定されたが、そのファイルには矛盾するリースが設定されていた (\fBfcntl\fP(2) 参照)。 .SH 準拠 SVr4, 4.3BSD, POSIX.1\-2001. フラグ \fBO_DIRECTORY\fP, \fBO_NOATIME\fP, \fBO_NOFOLLOW\fP は Linux 特有のものであり、 これらのフラグの定義を得るためには、 (「どの」ヘッダファイルをインクルードするよりも前に) \fB_GNU_SOURCE\fP を定義する必要があるかもしれない。 \fBO_CLOEXEC\fP フラグは POSIX.1\-2001 では規定されていないが、 POSIX.1\-2008 で規定されている。 \fBO_DIRECT\fP は POSIX では規定されていない。 \fBO_DIRECT\fP の定義を得るには (「どの」ヘッダファイルをインクルードするよりも前に) \fB_GNU_SOURCE\fP を定義しなければならない。 .SH 注意 Linux では、 \fBO_NONBLOCK\fP フラグは、 open を実行したいが read または write を実行する意図は 必ずしもないことを意味する。 これは \fBioctl\fP(2) のためのファイルディスクリプタを取得するために、 デバイスをオープンするときによく用いられる。 .\" See for example util-linux's disk-utils/setfdprm.c .\" For some background on access mode 3, see .\" http://thread.gmane.org/gmane.linux.kernel/653123 .\" "[RFC] correct flags to f_mode conversion in __dentry_open" .\" LKML, 12 Mar 2008 「アクセスモード」の値 \fBO_RDONLY\fP, \fBO_WRONLY\fP, \fBO_RDWR\fP は、 \fIflags\fP に指定できる他の値と違い、個々のビットを指定するものではなく、 これらの値は \fIflags\fP の下位 2 ビットを定義する。 \fBO_RDONLY\fP, \fBO_WRONLY\fP, \fBO_RDWR\fP はそれぞれ 0, 1, 2 に定義されている。 言い換えると、 \fBO_RDONLY | O_WRONLY\fP の組み合わせは論理的に間違いであり、確かに \fBO_RDWR\fP と同じ意味ではない。 Linux では、特別な、非標準なアクセスモードとして 3 (バイナリでは 11) が 予約されており \fIflags\fP に指定できる。 このアクセスモードを指定すると、ファイルの読み出し/書き込み許可をチェックし、 読み出しにも書き込みにも使用できないディスクリプタを返す。 この非標準のアクセスモードはいくつかの Linux ドライバで使用されており、 デバイス固有の \fBioctl\fP(2) 操作にのみ使用されるディスクリプタを返すために使われている。 .LP .\" Linux 2.0, 2.5: truncate .\" Solaris 5.7, 5.8: truncate .\" Irix 6.5: truncate .\" Tru64 5.1B: truncate .\" HP-UX 11.22: truncate .\" FreeBSD 4.7: truncate \fBO_RDONLY | O_TRUNC\fP の影響は未定義であり、その動作は実装によって異なる。 多くのシステムではファイルは実際に切り詰められる。 .PP NFS を実現しているプロトコルには多くの不備があり、特に \fBO_SYNC\fP と \fBO_NDELAY\fP に影響する。 POSIX では、3 種類の同期 I/O が提供されており、 \fBO_SYNC\fP, \fBO_DSYNC\fP, \fBO_RSYNC\fP フラグがこれに対応するものである。 今のところ (カーネル 2.6.31)、 Linux では \fBO_SYNC\fP だけが実装されているが、 glibc は \fBO_DSYNC\fP と \fBO_RSYNC\fP に \fBO_SYNC\fP と同じ数値を割り当てている。 ほとんどの Linux のファイルシステムは、実際には POSIX の \fBO_SYNC\fP の動作ではなく \fBO_DSYNC\fP の動作だけを実装している。 POSIX の \fBO_SYNC\fP では、 \fBopen\fP() がユーザ空間に返る際に、書き込みに関する全てのメタデータの 更新がディスクに書き込まれている必要がある。 一方、 \fBO_DSYNC\fP では、 \fBopen\fP() が返るまでに、実際のファイルのデータとそのデータを取得するために 必要なメタデータだけがディスクに書き込まれていればよい。 \fBopen\fP() はスペシャルファイルをオープンすることができるが、 \fBcreat\fP() でスペシャルファイルを作成できない点に注意すること。 代わりに \fBmknod\fP(2) を使用する。 .LP UID マッピングを使用している NFS ファイルシステムでは、 \fBopen\fP() がファイルディスクリプタを返した場合でも \fBread\fP(2) が \fBEACCES\fP で拒否される場合がある。 これはクライアントがアクセス許可のチェックを行って \fBopen\fP() を実行するが、読み込みや書き込みの際には サーバーで UID マッピングが行われるためである。 ファイルが新しく作成されると、 ファイルの \fIst_atime\fP, \fIst_ctime\fP, \fIst_mtime\fP フィールド (それぞれ最終アクセス時刻、最終状態変更時刻、最終修正時刻である。 \fBstat\fP(2) 参照) が現在時刻に設定される。 さらに親ディレクトリの \fIst_ctime\fP と \fIst_mtime\fP も現在時刻に設定される。 それ以外の場合で、O_TRUNC フラグでファイルが修正されたときは、 ファイルの \fIst_ctime\fP と \fIst_mtime\fP フィールドが現在時刻に設定される。 .SS O_DIRECT .LP \fBO_DIRECT\fP フラグを使用する場合、ユーザ空間バッファの長さやアドレス、 I/O のファイルオフセットに関してアラインメントの制限が課されることがある。 Linux では、アラインメントの制限はファイルシステムやカーネルのバージョンに よって異なり、全く制限が存在しない場合もある。 しかしながら、現在のところ、指定されたファイルやファイルシステムに対して こうした制限があるかを見つけるための、アプリケーション向けのインタフェースで ファイルシステム非依存のものは存在しない。 いくつかのファイルシステムでは、制限を確認するための独自のインタフェースが 提供されている。例えば、 \fBxfsctl\fP(3) の \fBXFS_IOC_DIOINFO\fP 命令である。 .LP Linux 2.4 では、転送サイズ、 ユーザーバッファのアラインメント、ファイルオフセットは、 ファイルシステムの論理ブロックサイズの倍数でなければならない。 Linux 2.6 では、512 バイトごとの境界に配置されていれば充分である。 .LP メモリバッファがプライベートマッピング (\fBmmap\fP(2) の \fBMAP_PRIVATE\fP フラグで作成されたマッピング) の場合には、\fBO_DIRECT\fP I/O は \fBfork\fP(2) システムコールと同時に決して実行すべきではない (プライベートマッピングには、ヒープ領域に割り当てられたメモリや静的に 割り当てたバッファも含まれる)。非同期 I/O インターフェース (AIO) 経由 やプロセス内の他のスレッドから発行された、このような I/O は、 \fBfork\fP(2) が呼び出される前に完了されるべきである。 そうしなかった場合、データ破壊や、親プロセスや子プロセスでの予期しない 動作が起こる可能性がある。 \fBO_DIRECT\fP I/O 用のメモリバッファが \fBshmat\fP(2) や\fBMAP_SHARED\fP フラグ 付きの \fBmmap\fP(2) で作成された場合には、この制限はあてはまらない。 \fBmadvise\fP(2) でメモリバッファにアドバイス \fBMADV_DONTFORK\fP が設定され ている場合にも、この制限はあてはまらない(\fBMADV_DONTFORK\fP はそのメモリ バッファが \fBfork\fP(2) 後に子プロセスからは利用できないことを保証するも のである)。 .LP \fBO_DIRECT\fP フラグは SGI IRIX で導入された。SGI IRIX にも Linux 2.4 と同様の (ユーザーバッファの) アラインメントの制限がある。 また、IRIX には適切な配置とサイズを取得するための \fBfcntl\fP(2) コールがある。 FreeBSD 4.x も同じ名前のフラグを導入したが、アラインメントの制限はない。 .LP \fBO_DIRECT\fP が Linux でサポートされたのは、カーネルバージョン 2.4.10 である。 古い Linux カーネルは、このフラグを単に無視する。 \fBO_DIRECT\fP フラグをサポートしていないファイルシステムもあり、その場合は、 \fBO_DIRECT\fP を使用すると \fBopen\fP() は \fBEINVAL\fP で失敗する。 .LP アプリケーションは、同じファイル、 特に同じファイルの重複するバイト領域に対して、 \fBO_DIRECT\fP と通常の I/O を混ぜて使うのは避けるべきである。 ファイルシステムがこのような状況において一貫性の問題を正しく 扱うことができる場合であっても、全体の I/O スループットは どちらか一方を使用するときと比べて低速になるであろう。 同様に、アプリケーションは、同じファイルに対して \fBmmap\fP(2) と直接 I/O (\fBO_DIRECT\fP) を混ぜて使うのも避けるべきである。 .LP NFS で \fBO_DIRECT\fP を使った場合の動作はローカルのファイルシステムの場合と違う。 古いカーネルや、ある種の設定でコンパイルされたカーネルは、 \fBO_DIRECT\fP と NFS の組み合わせをサポートしていないかもしれない。 NFS プロトコル自体はサーバにフラグを渡す機能は持っていないので、 \fBO_DIRECT\fP I/O はクライアント上のページキャッシュをバイパスするだけになり、 サーバは I/O をキャッシュしているかもしれない。 クライアントは、 \fBO_DIRECT\fP の同期機構を保持するため、サーバに対して I/O を同期して行うように依頼する。 サーバによっては、こうした状況下、特に I/O サイズが小さい場合に 性能が大きく劣化する。 また、サーバによっては、I/O が安定したストレージにまで行われたと、 クライアントに対して嘘をつくものもある。 これは、サーバの電源故障が起こった際にデータの完全性が保たれない 危険は少しあるが、性能面での不利な条件を回避するために行われている。 Linux の NFS クライアントでは \fBO_DIRECT\fP I/O でのアラインメントの制限はない。 .PP まとめると、 \fBO_DIRECT\fP は、注意して使うべきであるが、強力なツールとなる可能性を持っている。 アプリケーションは \fBO_DIRECT\fP をデフォルトでは無効になっている性能向上のためのオプションと 考えておくのがよいであろう。 .PP .RS 「O_DIRECT でいつも困るのは、インタフェース全部が本当にお馬鹿な点だ。 たぶん危ないマインドコントロール剤で 頭がおかしくなったサルが設計したんじゃないかな」 \(em Linus .RE .SH バグ .\" FIXME . Check bugzilla report on open(O_ASYNC) .\" See http://bugzilla.kernel.org/show_bug.cgi?id=5993 現在のところ、 \fBopen\fP() の呼び出し時に \fBO_ASYNC\fP を指定してシグナル駆動 I/O を有効にすることはできない。 このフラグを有効にするには \fBfcntl\fP(2) を使用すること。 .SH 関連項目 \fBchmod\fP(2), \fBchown\fP(2), \fBclose\fP(2), \fBdup\fP(2), \fBfcntl\fP(2), \fBlink\fP(2), \fBlseek\fP(2), \fBmknod\fP(2), \fBmmap\fP(2), \fBmount\fP(2), \fBopenat\fP(2), \fBread\fP(2), \fBsocket\fP(2), \fBstat\fP(2), \fBumask\fP(2), \fBunlink\fP(2), \fBwrite\fP(2), \fBfopen\fP(3), \fBfifo\fP(7), \fBpath_resolution\fP(7), \fBsymlink\fP(7) .SH この文書について この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.41 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。