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POW(3) Linux Programmer's Manual POW(3)

名前

pow, powf, powl - 累乗関数

書式

#include <math.h>
double pow(double x, double y);
float powf(float x, float y);
long double powl(long double x, long double y);

-lm でリンクする。

glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7) 参照):

powf(), powl():

_ISOC99_SOURCE || _POSIX_C_SOURCE >= 200112L
|| /* Since glibc 2.19: */ _DEFAULT_SOURCE
|| /* Glibc versions <= 2.19: */ _BSD_SOURCE || _SVID_SOURCE

説明

これらの関数は xy 乗の値を返す。

返り値

成功すると、これらの関数は xy 乗の値を返す。

x が 0 未満の有限値で y が整数でない有限値の場合、領域エラー (domain error) が発生し、 NaN が返される。

結果がオーバーフローする場合、 範囲エラー (range error) が発生し、 各関数はそれぞれ HUGE_VAL, HUGE_VALF, HUGE_VALL を返す。返り値には数学的に正しい符号が付与される。

結果がアンダーフローし、その値が表現可能でない場合、 範囲エラーが発生し、 0.0 が返される。

以下で規定されていない場合で、 xy が NaN の場合、返り値は NaN となる。

x が +1 の場合、 (y が NaN であったとしても) 返り値は 1.0 となる。

y が 0 の場合、 (x が NaN であったとしても) 返り値は 1.0 となる。

x が +0 (-0) で y が 0 より大きな奇数の場合、返り値は +0 (-0) となる。

x が 0 で、 y が 0 より大きく奇数でない場合、返り値は +0 となる。

x が -1 で、 y が正の無限大か負の無限大の場合、返り値は 1.0 となる。

x の絶対値が 1 未満で、 y が負の無限大の場合、返り値は正の無限大となる。

x 絶対値が 1 より大きく、 y が負の無限大の場合、返り値は +0 となる。

x の絶対値が 1 未満で、 y が正の無限大の場合、返り値は +0 となる。

x の絶対値が 1 より大きく、 y が正の無限大の場合、返り値は正の無限大となる。

x が負の無限大で、 y が 0 より小さい奇数の場合、返り値は -0 となる。

x が負の無限大で、 y が 0 より小さく奇数でない場合、返り値は +0 となる。

x が負の無限大で、 y が 0 より大きい奇数の場合、返り値は負の無限大となる。

x が負の無限大で、 y が 0 より大きく奇数でない場合、返り値は正の無限大となる。

x が正の無限大で、 y が 0 未満の場合、返り値は +0 となる。

x が正の無限大で、 y が 0 より大きい場合、返り値は正の無限大となる。

x が +0 か -0 で、 y が 0 より小さい奇数の場合、 極エラー (pole error) が発生し、返り値は HUGE_VAL, HUGE_VALF, HUGE_VALL となる。 x と同じ符号が付与される。

x が +0 か -0 で、 y が 0 より小さく奇数でない場合、 極エラーが発生し、 返り値は +HUGE_VAL, +HUGE_VALF, +HUGE_VALL となる。

エラー

これらの関数を呼び出した際にエラーが発生したかの判定方法についての情報は math_error(7) を参照のこと。

以下のエラーが発生する可能性がある。

領域エラー: x が負で、y が整数でない有限値
errnoEDOM が設定される。 不正 (invalid) 浮動小数点例外 (FE_INVALID) が上がる。
極エラー: x がゼロで、y が負
errnoERANGE が設定される (「バグ」の節も参照)。 0 による除算 (divide-by-zero) 浮動小数点例外 (FE_DIVBYZERO) が上がる。
範囲エラー: 結果がオーバーフロー
errnoERANGE が設定される。 オーバーフロー浮動小数点例外 (FE_OVERFLOW) が上がる。
範囲エラー: 結果がアンダーフロー
errnoERANGE が設定される。 アンダーフロー浮動小数点例外 (FE_UNDERFLOW) が上がる。

属性

この節で使用されている用語の説明については、 attributes(7) を参照。

インターフェース 属性
pow(), powf(), powl() Thread safety MT-Safe

準拠

C99, POSIX.1-2001, POSIX.1-2008.

double 版の関数は SVr4, 4.3BSD, C89 にも準拠している。

バグ

Historical bugs (now fixed)

バージョン 2.28 より前の glibc では、 (x86-64 などの) いくつかのアーキテクチャーでは、 pow は、特定の (ごく稀な) 入力に対して、その直近の似たような数字の場合と比べて 10000 倍以上遅くなることがある。 これは pow() でのみ起こることであり、 powf() や powl() では起こらない。この問題は glibc 2.28 で修正された。

A number of bugs in the glibc implementation of pow() were fixed in glibc version 2.16.

glibc 2.9 とそれ以前のバージョンでは、 極エラーが発生した場合、POSIX で要求されている ERANGE ではなく EDOMerrno に設定される。 バージョン 2.10 以降の glibc では、正しい動作をする。

glibc バージョン 2.3.2 以前では、 アンダーフローやアンダーフローのエラーが発生する場合、 glibc の pow() は、オーバーフロー例外やアンダーフロー例外を上げるだけでなく、 不正浮動小数点例外 (FE_INVALID) を間違って発生する。

関連項目

cbrt(3), cpow(3), sqrt(3)

この文書について

この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。

2020-06-09