.\" This manpage is Copyright (C) 1992 Drew Eckhardt; .\" and Copyright (C) 1993 Michael Haardt, Ian Jackson. .\" and Copyright (C) 2008 Greg Banks .\" and Copyright (C) 2006, 2008, 2013, 2014 Michael Kerrisk .\" .\" %%%LICENSE_START(VERBATIM) .\" Permission is granted to make and distribute verbatim copies of this .\" manual provided the copyright notice and this permission notice are .\" preserved on all copies. .\" .\" Permission is granted to copy and distribute modified versions of this .\" manual under the conditions for verbatim copying, provided that the .\" entire resulting derived work is distributed under the terms of a .\" permission notice identical to this one. .\" .\" Since the Linux kernel and libraries are constantly changing, this .\" manual page may be incorrect or out-of-date. The author(s) assume no .\" responsibility for errors or omissions, or for damages resulting from .\" the use of the information contained herein. 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Myers .\" Modified 1999-06-03 by Michael Haardt .\" Modified 2002-05-07 by Michael Kerrisk .\" Modified 2004-06-23 by Michael Kerrisk .\" 2004-12-08, mtk, reordered flags list alphabetically .\" 2004-12-08, Martin Pool (& mtk), added O_NOATIME .\" 2007-09-18, mtk, Added description of O_CLOEXEC + other minor edits .\" 2008-01-03, mtk, with input from Trond Myklebust .\" and Timo Sirainen .\" Rewrite description of O_EXCL. .\" 2008-01-11, Greg Banks : add more detail .\" on O_DIRECT. .\" 2008-02-26, Michael Haardt: Reorganized text for O_CREAT and mode .\" .\" FIXME . Apr 08: The next POSIX revision has O_EXEC, O_SEARCH, and .\" O_TTYINIT. Eventually these may need to be documented. --mtk .\" .\"******************************************************************* .\" .\" This file was generated with po4a. 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I raised an Aardvark to see if this .\" can be clarified in SUSv4; 10 Oct 2008. .\" http://thread.gmane.org/gmane.comp.standards.posix.austin.general/64/focus=67 .\" TC1 (balloted in 2013), resolved this, so that those three constants .\" are also categorized" as file status flags. .\" さらに、 \fIflags\fP には、ファイル作成フラグ (file creation flag) とファイル状態フラグ (file status flag) を 0 個以上「ビット単位の OR (bitwise\-or)」で 指定することができる。 \fIファイル作成フラグ\fP は \fBO_CLOEXEC\fP, \fBO_CREAT\fP, \fBO_DIRECTORY\fP, \fBO_EXCL\fP, \fBO_NOCTTY\fP, \fBO_NOFOLLOW\fP, \fBO_TMPFILE\fP, \fBO_TRUNC\fP, \fBO_TTY_INIT\fP である。 \fIファイル状態フラグ\fP は以下のリストのうち上記以外の残りのものである。 二種類のフラグの違いは、ファイル状態フラグの方はその内容を取得したり (場合によっては) 変更したりできる点にある。詳細は \fBfcntl\fP(2) を参照。 すべてのファイル作成フラグとファイル状態フラグを以下のリストに示す。 .TP \fBO_APPEND\fP .\" For more background, see .\" http://bugs.debian.org/cgi-bin/bugreport.cgi?bug=453946 .\" http://nfs.sourceforge.net/ ファイルを追加 (append) モードでオープンする。 毎回の \fBwrite\fP(2) の前に \fBlseek\fP(2) を行ったかのように、ファイルポインターをファイルの最後に移動する。 NFS ファイルシステムで、 \fBO_APPEND\fP を使用すると、複数のプロセスがひとつのファイルに同時にデータを追加した場合、 ファイルが壊れてしまうことがある。 これは NFS が追加モードをサポートしていないため、 クライアントのカーネル (kernel) がそれをシミュレートしなければならないのだが、 競合状態を避けることはできないからである。 .TP \fBO_ASYNC\fP シグナル駆動 I/O (signal\-driven I/O) を有効にする: このファイルディスクリプターへの 入力または出力が可能になった場合に、シグナルを生成する (デフォルトは \fBSIGIO\fP であるが、 \fBfcntl\fP(2) によって変更可能である)。 この機能が使用可能なのは端末、疑似端末、ソケットのみであり、 (Linux 2.6 以降では) パイプと FIFO に対しても使用できる。 さらに詳しい説明は \fBfcntl\fP(2) を参照すること。 下記の「バグ」も参照。 .TP \fBO_CLOEXEC\fP (Linux 2.6.23 以降) .\" NOTE! several other man pages refer to this text 新しいファイルディスクリプターに対して close\-on\-exec フラグを有効にする。 このフラグを指定することで、 プログラムは \fBFD_CLOEXEC\fP フラグをセットするために \fBfcntl\fP(2) \fBF_SETFD\fP 操作を別途呼び出す必要がなくなる。 .\" This flag fixes only one form of the race condition; .\" The race can also occur with, for example, descriptors .\" returned by accept(), pipe(), etc. ある種のマルチスレッドのプログラムはこのフラグの使用は不可欠である点に注意すること。 なぜなら、個別に \fBFD_CLOEXEC\fP フラグを設定する \fBfcntl\fP(2) \fBF_SETFD\fP 操作を呼び出したとしても、あるスレッドがファイルディスクリプターを オープンするのと同時に別のスレッドが \fBfork\fP(2) と \fBexecve\fP(2) を実行するという競合条件を避けるのには十分ではないからである。 実行の順序に依存して、この競合条件の結果、 \fBopen\fP() が返したファイルディスクリプターが \fBfork\fP(2) で作成された子プロセスにより実行されるプログラムに意図せず見えてしまう可能性がある。 (この種の競合は、 本質的に、 close\-on\-exec フラグをセットすべきファイルディスクリプターを作成するどのシステムコールでも起こり得るものであり、 他のいろいろな Linux システムコールでこの問題に対処するために \fBO_CLOEXEC\fP と同等の機能が提供されている。) .TP \fBO_CREAT\fP .\" As at 2.6.25, bsdgroups is supported by ext2, ext3, ext4, and .\" XFS (since 2.6.14). ファイルが存在しなかった場合は作成 (create) する。 ファイルの所有者 (ユーザー ID) は、プロセスの実効ユーザー ID に設定される。 グループ所有権 (グループ ID) は、プロセスの実効グループ ID または親ディレクトリのグループ ID に設定される (これは、ファイルシステムタイプ、マウントオプション、 親ディレクトリのモードに依存する。 \fBmount\fP(8) で説明されているマウントオプション \fIbsdgroups\fP と \fIsysvgroups\fP を参照)。 .RS .PP \fImode\fP は新しいファイルを作成する場合に使用するアクセス許可 (permission) を指定する。 \fIflags\fP に \fBO_CREAT\fP か \fBO_TMPFILE\fP が指定されている場合、 \fImode\fP を指定しなければならない。 \fBO_CREAT\fP も \fBO_TMPFILE\fP も指定されていない場合、 \fImode\fP は無視される。 有効なアクセス許可は、普段と同じようにプロセスの \fIumask\fP によって修正され、作成されたファイルの許可は \fI(mode\ &\ ~umask)\fP となる。 このモードは、新しく作成されたファイルに対するそれ以降のアクセス にのみ適用される点に注意すること。 読み取り専用のファイルを作成する \fBopen\fP() コールであっても、 読み書き可能なファイルディスクリプターを返すことがありうる。 .PP \fImode\fP のために以下のシンボル定数が提供されている : .TP 9 \fBS_IRWXU\fP 00700 ユーザー (ファイルの所有者) に読み込み、書き込み、 実行の許可がある。 .TP \fBS_IRUSR\fP 00400 ユーザーに読み込みの許可がある。 .TP \fBS_IWUSR\fP 00200 ユーザーに書き込みの許可がある。 .TP \fBS_IXUSR\fP 00100 ユーザーに実行の許可がある。 .TP \fBS_IRWXG\fP 00070 グループに読み込み、書き込み、実行の許可がある。 .TP \fBS_IRGRP\fP 00040 グループに読み込みの許可がある。 .TP \fBS_IWGRP\fP 00020 グループに書き込みの許可がある。 .TP \fBS_IXGRP\fP 00010 グループに実行の許可がある。 .TP \fBS_IRWXO\fP 00007 他人 (others) に読み込み、書き込み、実行の許可がある。 .TP \fBS_IROTH\fP 00004 他人に読み込みの許可がある。 .TP \fBS_IWOTH\fP 00002 他人に書き込みの許可がある。 .TP \fBS_IXOTH\fP 00001 他人に実行の許可がある。 .RE .TP \fBO_DIRECT\fP (Linux 2.4.10 以降) このファイルに対する I/O のキャッシュの効果を最小化しようとする。このフラグを使うと、一般的に性能が低下する。 しかしアプリケーションが独自にキャッシングを行っているような 特別な場合には役に立つ。 ファイルの I/O はユーザー空間バッファーに対して直接行われる。 \fBO_DIRECT\fP フラグ自身はデータを同期で転送しようとはするが、 \fBO_SYNC\fP フラグのようにデータと必要なメタデータの転送が保証されるわけではない。同期 I/O を保証するためには、 \fBO_DIRECT\fP に加えて \fBO_SYNC\fP を使用しなければならない。下記の「注意」の節の議論も参照。 .sp ブロックデバイスに対する似通った意味のインターフェースが \fBraw\fP(8) で説明されている (但し、このインターフェースは非推奨である)。 .TP \fBO_DIRECTORY\fP .\" But see the following and its replies: .\" http://marc.theaimsgroup.com/?t=112748702800001&r=1&w=2 .\" [PATCH] open: O_DIRECTORY and O_CREAT together should fail .\" O_DIRECTORY | O_CREAT causes O_DIRECTORY to be ignored. \fIpathname\fP がディレクトリでなければオープンは失敗する。 このフラグは、 \fBopendir\fP(3) が FIFO やテープデバイスに対してコールされた場合の サービス不能 (denial\-of\-service) 攻撃を避けるために カーネル 2.1.126 で追加された。 .TP \fBO_DSYNC\fP ファイルに対する書き込み操作は、同期 I/O の\fIデータ\fP完全性完了の要件に基づいて行われる。 \fBwrite\fP(2) (や同様のコール) が返るまでに、 書き込まれたデータおよびデータを取得するのに必要なファイルメタデータが裏で利用されているハードウェアに転送される (つまり、\fBwrite\fP(2) の後に \fBfdatasync\fP(2) を呼び出したのと同じようになる)。 \fI下記の「注意」も参照のこと\fP。 .TP \fBO_EXCL\fP この呼び出しでファイルが作成されることを保証する。このフラグが \fBO_CREAT\fP と 一緒に指定され、 \fIpathname\fP のファイルが既に存在した場合、 \fBopen\fP() は失敗 する。 .\" POSIX.1-2001 explicitly requires this behavior. これら二つのフラグが指定された際、シンボリックリンクは辿られない。 \fIpathname\fP がシンボリックリンクの場合、 シンボリックリンクがどこを指しているかに関わらず \fBopen\fP() は失敗する。 一般的には、 \fBO_CREAT\fP を指定せずに \fBO_EXCL\fP を使用した場合の \fBO_EXCL\fP の動作は規定されていない。 これには一つ例外があり、Linux 2.6 以降では、 \fIpathname\fP がブロックデバイスを参照している場合、 \fBO_CREAT\fP なしで \fBO_EXCL\fP を使用することができる。 システムがそのブロックデバイスを使用中の場合 (例えば、 マウントされているなど)、 \fBopen\fP() はエラー \fBEBUSY\fP で失敗する。 NFS では、 \fBO_EXCL\fP は、Linux 2.6 以降で NFSv3 以降を使っている場合でのみサポートされる。 \fBO_EXCL\fP サポートが提供されていない NFS 環境では、このフラグに頼って ロック処理を実行するプログラムは競合状態 (race condition) に出会う 可能性がある。 ロックファイルを使用して不可分 (atomic) なファイルロックを実現し、 NFS が \fBO_EXCL\fP をサポートしているかに依存しないようにしたい場合、 移植性のある方法は、同じファイルシステム上に他と名前の重ならない ファイル (例えばホスト名と PID を組み合わせた名前) を作成し、 \fBlink\fP(2) を使用してそのロックファイルへのリンクを作成することである。 \fBlink\fP(2) コールの返り値が 0 ならばロックに成功している。 あるいは、そのファイルに \fBstat\fP(2) を使用してリンク数 (link count) が 2 になっているかをチェックする。 そうなっていれば、同じくロックに成功しているということである。 .TP \fBO_LARGEFILE\fP (LFS) \fIoff_t\fP ではサイズを表せない (だだし \fIoff64_t\fP ではサイズを表せる)ファ イルをオープン可能にする。この定義を有効にするためには、(\fIどの\fPヘッダーファイ ルをインクルードするよりも前に) \fB_LARGEFILE64_SOURCE\fP マクロを定義しなければ ならない。 32 ビットシステムにおいて大きなファイルにアクセスしたい場合、 (\fBO_LARGEFILE\fP を使うよりも) \fB_FILE_OFFSET_BITS\fP 機能検査マクロを 64 に セットする方が望ましい方法である (\fBfeature_test_macros\fP(7) を参照)。 .TP \fBO_NOATIME\fP (Linux 2.6.8 以降) .\" The O_NOATIME flag also affects the treatment of st_atime .\" by mmap() and readdir(2), MTK, Dec 04. ファイルに対して \fBread\fP(2) が実行されたときに、最終アクセス時刻 (inode の \fIst_atime\fP) を更新しない。 このフラグはインデックス作成やバックアッププログラムで使うことを意図している。 これを使うとディスクに対する操作を大幅に減らすことができる。 このフラグは全てのファイルシステムに対して有効であるわけではない。 その一例が NFS であり、サーバがアクセス時刻を管理している。 .TP \fBO_NOCTTY\fP \fIpathname\fP が端末 (terminal) デバイス \(em \fBtty\fP(4) 参照 \(em を指している 場合に、たとえそのプロセスが制御端末を持っていなくても、オープンしたファイル は制御端末にはならない。 .TP \fBO_NOFOLLOW\fP .\" The headers from glibc 2.0.100 and later include a .\" definition of this flag; \fIkernels before 2.1.126 will ignore it if .\" used\fP. \fIpathname\fP がシンボリックリンクだった場合、オープンは失敗する。 これは FreeBSD の拡張で、Linux には バージョン 2.1.126 で追加された。 このフラグが指定された場合でも \fIpathname\fP の前の方の要素 (最後のディレクトリセパレータより前の部分) にあるシンボリックリンクについてはリンクが辿られる。 下記の \fBO_PATH\fP も参照のこと。 .TP \fBO_NONBLOCK\fP または \fBO_NDELAY\fP 可能ならば、ファイルは非停止 (nonblocking) モードでオープンされる。 \fBopen\fP() も、返したファイルディスクリプターに対する以後のすべての操作も呼び出 したプロセスを待たせることはない。 FIFO (名前付きパイプ) を扱う場合には \fBfifo\fP(7) も参照すること。 強制ファイルロック (mandatory file lock) やファイ ルリース (file lease) と組み合わせた場合の、 \fBO_NONBLOCK\fP の効果についての 議論は、 \fBfcntl\fP(2) を参照すること。 .TP \fBO_PATH\fP (Linux 2.6.39 以降) .\" commit 1abf0c718f15a56a0a435588d1b104c7a37dc9bd .\" commit 326be7b484843988afe57566b627fb7a70beac56 .\" commit 65cfc6722361570bfe255698d9cd4dccaf47570d .\" .\" http://thread.gmane.org/gmane.linux.man/2790/focus=3496 .\" Subject: Re: [PATCH] open(2): document O_PATH .\" Newsgroups: gmane.linux.man, gmane.linux.kernel .\" このフラグを指定して取得したファイルディスクリプターは、 ファイルシステムツリー内での場所を示すため、 純粋にファイルディスクリプターレベルでの作用する操作を実行するため、 の二つの目的で使用することができる。 ファイル自身はオープンされず、 他のファイル操作 (例えば \fBread\fP(2), \fBwrite\fP(2), \fBfchmod\fP(2), \fBfchown\fP(2), \fBfgetxattr\fP(2), \fBmmap\fP(2)) はエラー \fBEBADF\fP で失敗する。 取得したファイルディスクリプターに対して以下の操作を行うことが「できる」。 .RS .IP * 3 .\" commit 332a2e1244bd08b9e3ecd378028513396a004a24 .\" fstat(): commit 55815f70147dcfa3ead5738fd56d3574e2e3c1c2 \fBclose\fP(2); \fBfchdir\fP(2) (Linux 3.5 以降); \fBfstat\fP(2) (Linux 3.6 以降) .IP * ファイルディスクリプターの複製 (\fBdup\fP(2), \fBfcntl\fP(2) \fBF_DUPFD\fP など) .IP * ファイルディスクリプターフラグの取得と設定 (\fBfcntl\fP(2) の \fBF_GETFD\fP と \fBF_SETFD\fP) .IP * \fBfcntl\fP(2) の \fBF_GETFL\fP 操作を使ったオープンされたファイルの状態フラグの取得。 返されるフラグには \fBO_PATH\fP ビットが含まれる。 .IP * \fBopenat\fP(2) や他の "*at()" 系のシステムコールの \fIdirfd\fP 引数としてそのファイルディスクリプターを渡す。 これには、 ファイルがディレクトリでない場合に \fBlinkat\fP(2) に \fBAT_EMPTY_PATH\fP が指定された場合 (や procfs 経由で \fBAT_SYMLINK_FOLLOW\fP が使用された場合) を含む。 .IP * そのファイルディスクリプターを別のプロセスに UNIX ドメインソケット経由で渡す。 (\fBunix\fP(7) の \fBSCM_RIGHTS\fP を参照) .RE .IP \fIflags\fP に \fBO_PATH\fP が指定された場合、 \fBO_CLOEXEC\fP, \fBO_DIRECTORY\fP, \fBO_NOFOLLOW\fP 以外のフラグビットは無視される。 \fIpathname\fP がシンボリックリンクで \fBO_NOFOLLOW\fP フラグも合わせて指定された場合、 この呼び出しではシンボリックリンクを参照するファイルディスクリプターを返す。 このファイルディスクリプターは、 空のパス名を指定した \fBfchownat\fP(2), \fBfstatat\fP(2), \fBlinkat\fP(2), \fBreadlinkat\fP(2) の呼び出しで \fIdirfd\fP 引数として使うことで、 そのシンボリックリンクに対して操作を行うことができる。 .TP \fBO_SYNC\fP ファイルに対する書き込み操作は、同期 I/O の\fIファイル\fP完全性完了の要件に基づいて行われる (これに対し \fBO_DSYNC\fP では同期 I/O の\fIデータ\fP完全性完了が提供される)。 \fBwrite\fP(2) (や同様のコール) が返るまでに、 書き込まれたデータと関連するファイルメタデータが裏で利用されているハードウェアに転送される (つまり、\fBwrite\fP(2) の後に \fBfsync\fP(2) を呼び出したのと同じようになる)。 \fI下記の「注意」も参照のこと\fP。 .TP \fBO_TMPFILE\fP (Linux 3.11 以降) .\" commit 60545d0d4610b02e55f65d141c95b18ccf855b6e .\" commit f4e0c30c191f87851c4a53454abb55ee276f4a7e .\" commit bb458c644a59dbba3a1fe59b27106c5e68e1c4bd 名前なしの一時ファイルを作成する。 \fIpathname\fP 引き数はディレクトリを指定する。 名前なしの inode がそのディレクトリが存在するファイルシステムに作成される。 そのファイルに名前を付与しない限り、 作成されたファイルに書き込まれた内容は、 最後のファイルディスクリプターがクローズされる際に失われる。 \fBO_TMPFILE\fP は必ず \fBO_RDWR\fP か \fBO_WRONLY\fP のいずれかと一緒に使わなければならない。 \fBO_EXCL\fP も指定することができる。 \fBO_EXCL\fP が指定されなかった場合、 \fBlinkat\fP(2) を使って、そのファイルシステムにこの一時ファイルへのリンクを作成し、ファイルを永続化することができる。 以下のコードのようにすればよい。 .in +4n .nf char path[PATH_MAX]; fd = open("/path/to/dir", O_TMPFILE | O_RDWR, S_IRUSR | S_IWUSR); /* 'fd' に対するファイル I/O ... */ snprintf(path, PATH_MAX, "/proc/self/fd/%d", fd); linkat(AT_FDCWD, path, AT_FDCWD, "/path/for/file", AT_SYMLINK_FOLLOW); .fi .in この場合、 \fBopen\fP() の \fImode\fP 引き数は \fBO_CREAT\fP と同様にファイルのアクセス許可モードの決定に使われる。 \fBO_TMPFILE\fP とともに \fBO_EXCL\fP を指定すると、 一時ファイルに対して上記の方法でファイルシステムへのリンクを行うことができなくなる (この場合の \fBO_EXCL\fP の意味は他の場合の \fBO_EXCL\fP の意味とは異なる点に注意)。 .\" Inspired by http://lwn.net/Articles/559147/ \fBO_TMPFILE\fP には主に二つの用途がある。 .RS .IP * 3 改善された \fBtmpfile\fP(3) の機能: (1) クローズ時に自動的に削除される、 (2) パス名では決して参照できない、 (3) シンボリックリンク攻撃ができない、 (4) 呼び出し元が一意な名前を考える必要がない、 という特長を持つ競合のない一時ファイルの作成。 .IP * 最初は見えないファイルを作成し、 それからデータを書き込んだり、適切なファイルシステム属性を持つように調整したり (\fBchown\fP(2), \fBchmod\fP(2), \fBfsetxattr\fP(2) など) した後、 準備が全て整った状態で (上述の \fBlinkat\fP(2) を使って) ファイルシステム内にアトミックにリンクを行う。 .RE .IP .\" commit 99b6436bc29e4f10e4388c27a3e4810191cc4788 .\" commit ab29743117f9f4c22ac44c13c1647fb24fb2bafe \fBO_TMPFILE\fP は、 裏で利用されるファイルシステムによるサポートが必要である。 一部の Linux ファイルシステムだけがこの機能をサポートしている。 最初の実装では、 ext2, ext3, ext4, UDF, Minix, shmem ファイルシステムがサポートしていた。 XFS でのサポートが Linux 3.15 で追加された。 .TP \fBO_TRUNC\fP ファイルが既に存在し、通常ファイルであり、 アクセスモードで書き込みが許可されている (つまり、 \fBO_RDWR\fP または \fBO_WRONLY\fP の) 場合、長さ 0 に切り詰め (truncate) られる。 ファイルが FIFO または端末デバイスファイルの場合、 \fBO_TRUNC\fP フラグは無視される。 それ以外の場合、 \fBO_TRUNC\fP の効果は未定義である。 .SS creat() \fBcreat\fP() は \fIflags\fP に \fBO_CREAT|O_WRONLY|O_TRUNC\fP を指定して \fBopen\fP() を行うのと等価である。 .SS openat() \fBopenat\fP() システムコールは \fBopen\fP() と全く同様に動作するが、以下で説明する点が異なる。 \fIpathname\fP で指定されたパス名が相対パスの場合、このパス名はファイルディスクリプター \fIdirfd\fP が参照するディレクトリに対する相対パスと解釈される (\fBopen\fP() に相対パス名を渡した場合のように、呼び出したプロセスのカレントワーキングディレクトリに対する相対パスではない)。 \fIpathname\fP で指定されたパス名が相対パスで、 \fIdirfd\fP が特別な値 \fBAT_FDCWD\fP の場合、 (\fBopen\fP() と同様に) \fIpathname\fP は呼び出したプロセスのカレントワーキングディレクトリに対する相対パスと解釈される。 \fIpathname\fP で指定されたパス名が絶対パスの場合、 \fIdirfd\fP は無視される。 .SH 返り値 \fBopen\fP(), \fBopenat\fP(), \fBcreat\fP() は新しいファイルディスクリプターを返す。 エラーが発生した場合は \-1 を返す (その場合は \fIerrno\fP が適切に設定される)。 .SH エラー \fBopen\fP(), \fBopenat\fP(), \fBcreat\fP() は以下のエラーで失敗する。 .TP \fBEACCES\fP ファイルに対する要求されたアクセスが許されていないか、 \fIpathname\fP のディレクトリ部分の何れかのディレクトリに検索許可がなかった。 またはファイルが存在せず、親ディレクトリへの書き込み許可がなかった。 (\fBpath_resolution\fP(7) も参照すること。) .TP \fBEDQUOT\fP \fBO_CREAT\fP が指定された場合で、そのファイルが存在せず、ディスクブロックか inode がそのファイルシステムのユーザークォータに達していた。 .TP \fBEEXIST\fP \fIpathname\fP は既に存在し、 \fBO_CREAT\fP と \fBO_EXCL\fP が使用された。 .TP \fBEFAULT\fP \fIpathname\fP がアクセス可能なアドレス空間の外を指している。 .TP \fBEFBIG\fP \fBEOVERFLOW\fP 参照。 .TP \fBEINTR\fP 遅いデバイス (例えば FIFO、 \fBfifo\fP(7) 参照) のオープンが完了するのを待って停止している間に システムコールがシグナルハンドラーにより割り込まれた。 \fBsignal\fP(7) 参照。 .TP \fBEINVAL\fP ファイルシステムが \fBO_DIRECT\fP フラグをサポートしていない。 詳細は\fB注意\fPを参照。 .TP \fBEINVAL\fP .\" In particular, __O_TMPFILE instead of O_TMPFILE \fIflags\fP に無効な値が入っている。 .TP \fBEINVAL\fP \fIflags\fP に \fBO_TMPFILE\fP が指定されたが、 \fBO_WRONLY\fP も \fBO_RDWR\fP も指定されていなかった。 .TP \fBEISDIR\fP \fIpathname\fP はディレクトリを参照しており、書き込み要求が含まれていた (つまり \fBO_WRONLY\fP または \fBO_RDWR\fP が設定されている)。 .TP \fBEISDIR\fP \fIpathname\fP が存在するディレクトリを参照していて、 \fBO_TMPFILE\fP および \fBO_WRONLY\fP と \fBO_RDWR\fP の一方が \fIflags\fP に指定されていたが、 このカーネルバージョンでは \fBO_TMPFILE\fP 機能が提供されていない。 .TP \fBELOOP\fP \fIpathname\fP を解決する際に遭遇したシンボリックリンクが多過ぎる。 .TP \fBELOOP\fP \fIpathname\fP がシンボリックリンクで、 \fIflags\fP に \fBO_NOFOLLOW\fP が指定されたが、 \fBO_PATH\fP が指定されていなかった。 .TP \fBEMFILE\fP プロセスがオープンしているファイル数がすでに最大数に達している (\fBgetrlimit\fP(2) の \fBRLIMIT_NOFILE\fP の説明を参照)。 .TP \fBENAMETOOLONG\fP \fIpathname\fP が長過ぎる。 .TP \fBENFILE\fP オープンされているファイルの総数がシステムの制限に達している。 .TP \fBENODEV\fP \fIpathname\fP がデバイススペシャルファイルを参照しており、対応するデバイスが存在しない。 (これは Linux カーネルのバグであり、この場合には \fBENXIO\fP が返されるべきである) .TP \fBENOENT\fP \fBO_CREAT\fP が設定されておらず、かつ指定されたファイルが存在しない。 または、 \fIpathname\fP のディレクトリ部分が存在しないか壊れた (dangling) シンボリックリンクである。 .TP \fBENOENT\fP \fIpathname\fP が存在しないディレクトリを参照していて、 \fBO_TMPFILE\fP および \fBO_WRONLY\fP と \fBO_RDWR\fP の一方が \fIflags\fP に指定されていたが、 このカーネルバージョンでは \fBO_TMPFILE\fP 機能が提供されていない。 .TP \fBENOMEM\fP 十分なカーネルメモリーがない。 .TP \fBENOSPC\fP \fIpathname\fP を作成する必要があるが、 \fIpathname\fP を含んでいるデバイスに新しいファイルのための空き容量がない。 .TP \fBENOTDIR\fP \fIpathname\fP に含まれるディレクトリ部分のどれかが実際にはディレクトリでない。 または \fBO_DIRECTORY\fP が指定されており、 \fIpathname\fP がディレクトリでない。 .TP \fBENXIO\fP \fBO_NONBLOCK\fP | \fBO_WRONLY\fP が設定されており、指定したファイルが FIFO で そのファイルを読み込み用でオープンしている FIFO が存在しない。 または、ファイルがデバイススペシャルファイルで 対応するデバイスが存在しない。 .TP \fBEOPNOTSUPP\fP \fIpathname\fP を含んでいるファイルシステムが \fBO_TMPFILE\fP をサポートしていない。 .TP \fBEOVERFLOW\fP .\" See http://bugzilla.kernel.org/show_bug.cgi?id=7253 .\" "Open of a large file on 32-bit fails with EFBIG, should be EOVERFLOW" .\" Reported 2006-10-03 \fIpathname\fP が参照しているのが、大き過ぎてオープンできない通常のファイルである。 通常、このエラーが発生するは、32 ビットプラットフォーム上で \fI\-D_FILE_OFFSET_BITS=64\fP を指定せずにコンパイルされたアプリケーションが、ファイルサイズが \fI(1<31)\-1\fP バイトを超えるファイルを開こうとした場合である。 上記の \fBO_LARGEFILE\fP も参照。 これは POSIX.1\-2001 で規定されているエラーである。 2.6.24 より前のカーネルでは、Linux はこの場合にエラー \fBEFBIG\fP を返していた。 .TP \fBEPERM\fP .\" Strictly speaking, it's the filesystem UID... (MTK) \fBO_NOATIME\fP フラグが指定されたが、呼び出し元の実効ユーザー ID が ファイルの所有者と一致せず、かつ呼び出し元に特権 (\fBCAP_FOWNER\fP) がない。 .TP \fBEPERM\fP 操作が file seal により禁止されている。 \fBfcntl\fP(2) 参照。 .TP \fBEROFS\fP \fIpathname\fP が読み込み専用のファイルシステム上のファイルを参照しており、 書き込みアクセスが要求された。 .TP \fBETXTBSY\fP \fIpathname\fP が現在実行中の実行イメージを参照しており、書き込みが要求された。 .TP \fBEWOULDBLOCK\fP \fBO_NONBLOCK\fP フラグが指定されたが、そのファイルには矛盾するリースが設定されていた (\fBfcntl\fP(2) 参照)。 .PP \fBopenat\fP() では以下のエラーも発生する。 .TP \fBEBADF\fP \fIdirfd\fP が有効なファイルディスクリプターではない。 .TP \fBENOTDIR\fP \fIpathname\fP が相対パス名で、 \fIdirfd\fP がディレクトリ以外のファイルを参照しているファイルディスクリプターである。 .SH バージョン \fBopenat\fP() はカーネル 2.6.16 で Linux に追加された。 ライブラリによるサポートはバージョン 2.4 で glibc に追加された。 .SH 準拠 \fBopen\fP(), \fBcreat\fP() SVr4, 4.3BSD, POSIX.1\-2001, POSIX.1\-2008. \fBopenat\fP(): POSIX.1\-2008. フラグ \fBO_DIRECT\fP, \fBO_NOATIME\fP, \fBO_PATH\fP, \fBO_TMPFILE\fP は Linux 特有のものである。 これらのフラグの定義を得るためには \fB_GNU_SOURCE\fP を定義しなければならない。 フラグ \fBO_CLOEXEC\fP, \fBO_DIRECTORY\fP, \fBO_NOFOLLOW\fP は POSIX.1\-2001 では規定されていないが、 POSIX.1\-2008 では規定されている。 glibc 2.12 以降では、これらの定義を得るには、 \fB_POSIX_C_SOURCE\fP を 200809L 以上の値で定義するか、 \fB_XOPEN_SOURCE\fP を 700 以上の値で定義する。 glibc 2.11 以前では、 これらの定義を得るには \fB_GNU_SOURCE\fP を定義する。 \fBfeature_test_macros\fP(7) に注意書きがあるように、 \fB_POSIX_C_SOURCE\fP, \fB_XOPEN_SOURCE\fP, \fB_GNU_SOURCE\fP などの機能検査マクロは\fIどの\fPヘッダーファイルをインクルードするより前に定義しなければならない。 .SH 注意 Linux では、 \fBO_NONBLOCK\fP フラグは、 open を実行したいが read または write を実行する意図は 必ずしもないことを意味する。 これは \fBioctl\fP(2) のためのファイルディスクリプターを取得するために、 デバイスをオープンするときによく用いられる。 .LP .\" Linux 2.0, 2.5: truncate .\" Solaris 5.7, 5.8: truncate .\" Irix 6.5: truncate .\" Tru64 5.1B: truncate .\" HP-UX 11.22: truncate .\" FreeBSD 4.7: truncate \fBO_RDONLY | O_TRUNC\fP の影響は未定義であり、その動作は実装によって異なる。 多くのシステムではファイルは実際に切り詰められる。 \fBopen\fP() はスペシャルファイルをオープンすることができるが、 \fBcreat\fP() でスペシャルファイルを作成できない点に注意すること。 代わりに \fBmknod\fP(2) を使用する。 .\" .\" ファイルが新しく作成されると、 ファイルの \fIst_atime\fP, \fIst_ctime\fP, \fIst_mtime\fP フィールド (それぞれ最終アクセス時刻、最終状態変更時刻、最終修正時刻である。 \fBstat\fP(2) 参照) が現在時刻に設定される。 さらに親ディレクトリの \fIst_ctime\fP と \fIst_mtime\fP も現在時刻に設定される。 それ以外の場合で、O_TRUNC フラグでファイルが修正されたときは、 ファイルの \fIst_ctime\fP と \fIst_mtime\fP フィールドが現在時刻に設定される。 .SS オープンファイル記述 オープンファイル記述という用語は POSIX で使用されている用語で、オープンされているファイルのシステム共通のテーブルのエントリーを参照するものである。 別の文脈では、このオブジェクトはいろいろな呼び方があり、 「オープンファイルオブジェクト」、「ファイルハンドル」、「オープンファイルテーブルエントリー」、 カーネル開発者の用語では \fIstruct file\fP などと呼ばれる。 ファイルディスクリプターが (\fBdup\fP(2) や同様のシステムコールを使って) 複製される際に、 複製されたファイルディスクリプターは元のファイルディスクリプターと同じオープンファイル記述を参照する。 結果として 2 つのファイルディスクリプターはファイルオフセットとファイル状態フラグを共有する。 このような共有はプロセス間でも起こり得る。 \fBfork\fP(2) で作成された子プロセスは親プロセスのファイルディスクリプターの複製を継承し、これらの複製は同じオープンファイル記述を参照する。 .\" .\" 1 つのファイルに対して \fBopen\fP(2) を行う毎に、新しいオープンファイル記述が作成される。 したがって、 1 つのファイル inode に対して複数のオープンファイル記述が存在することがありえる。 .SS "同期 I/O" POSIX.1\-2008 の「同期 I/O」の選択肢として複数種類が規定されており、 動作を制御するために \fBopen\fP() フラグとして \fBO_SYNC\fP, \fBO_DSYNC\fP, \fBO_RSYNC\fP が規定されている。 この選択肢を実装がサポートしているかに関わらず、 各実装では少なくとも通常のファイルに対して \fBO_SYNC\fP が利用できなければならない。 Linux は \fBO_SYNC\fP と \fBO_DSYNC\fP を実装しているが、 \fBO_RSYNC\fP は実装していない (少し間違っているのだが、 glibc では \fBO_RSYNC\fP が \fBO_SYNC\fP と同じ値で定義されている)。 \fBO_SYNC\fP は、 同期 I/O での\fIファイル\fP完全性完了を提供する。 つまり、 書き込み操作はデータとすべての関連メタデータを裏で利用されているハードウェアにフラッシュすることを意味する。 \fBO_DSYNC\fP は、 同期 I/O での\fIデータ\fP完全性完了を提供する。 つまり、 書き込み操作はデータを裏で利用されているハードウェアにフラッシュするが、 それ以降の読み出し操作が正常に完了するのに必要なメタデータの更新のみをフラッシュする。 データ完全性完了は、 ファイル完全性完了を必要としないアプリケーションで、 ディスク操作の数を減らすことができる。 2 種類の完了の違いを理解するために、 ファイルメタデータの 2 つの要素、 ファイルの最終修正時刻 (\fIst_mtime\fP) とファイル長、を考える。 すべての書き込み操作は最終修正時刻を更新するが、 ファイルの末尾にデータを追加する書き込み操作のみがファイル長を変更する。 最終修正時刻は、 読み出しが正常に完了するのに必要ではないが、 ファイル長は必要である。 したがって、 \fBO_DSYNC\fP はファイル長のメタデータの更新がフラッシュされることだけを保証する (これに対して \fBO_SYNC\fP では最終修正時刻のメタデータも常にフラッシュされる)。 Linux 2.6.33 より前では、 Linux は \fBopen\fP() では \fBO_SYNC\fP フラグのみを実装していた。 しかしながら、 このフラグが指定された場合、 ほとんどのファイルシステムで提供されていたのは実際には同期 I/O での\fIデータ\fP完全性完了と等価なものであった (つまり、 \fBO_SYNC\fP は実際には \fBO_DSYNC\fP と等価なものとして実装されていた)。 .\" .\" Linux 2.6.33 行こう では、 正しい \fBO_SYNC\fP のサポートが提供されている。 しかしながら、 バイナリレベルの後方互換性を保証するため、 \fBO_DSYNC\fP は以前の \fBO_SYNC\fP と同じ値で定義されており、 \fBO_SYNC\fP は \fBO_DSYNC\fP フラグの値を含む新しい (2 ビットの) フラグ値として定義されている。 これにより、 新しいヘッダーを使ってコンパイルされたアプリケーションで、 2.6.33 より前のカーネルで少なくとも \fBO_DSYNC\fP の動作は同じになることが保証される。 .SS NFS NFS を実現しているプロトコルには多くの不備があり、特に \fBO_SYNC\fP と \fBO_NDELAY\fP に影響する。 .\" .\" UID マッピングを使用している NFS ファイルシステムでは、 \fBopen\fP() がファイルディスクリプターを返した場合でも \fBread\fP(2) が \fBEACCES\fP で拒否される場合がある。 これはクライアントがアクセス許可のチェックを行って \fBopen\fP() を実行するが、読み込みや書き込みの際には サーバーで UID マッピングが行われるためである。 .SS ファイルアクセスモード 「アクセスモード」の値 \fBO_RDONLY\fP, \fBO_WRONLY\fP, \fBO_RDWR\fP は、 \fIflags\fP に指定できる他の値と違い、個々のビットを指定するものではなく、 これらの値は \fIflags\fP の下位 2 ビットを定義する。 \fBO_RDONLY\fP, \fBO_WRONLY\fP, \fBO_RDWR\fP はそれぞれ 0, 1, 2 に定義されている。 言い換えると、 \fBO_RDONLY | O_WRONLY\fP の組み合わせは論理的に間違いであり、確かに \fBO_RDWR\fP と同じ意味ではない。 .\" See for example util-linux's disk-utils/setfdprm.c .\" For some background on access mode 3, see .\" http://thread.gmane.org/gmane.linux.kernel/653123 .\" "[RFC] correct flags to f_mode conversion in __dentry_open" .\" LKML, 12 Mar 2008 .\" .\" Linux では、特別な、非標準なアクセスモードとして 3 (バイナリでは 11) が 予約されており \fIflags\fP に指定できる。 このアクセスモードを指定すると、ファイルの読み出し/書き込み許可をチェックし、 読み出しにも書き込みにも使用できないディスクリプターを返す。 この非標準のアクセスモードはいくつかの Linux ドライバで、デバイス固有の \fBioctl\fP(2) 操作にのみ使用されるディスクリプターを返すために使われている。 .SS "openat() や他のディレクトリファイルディスクリプター API の基本原理" \fBopenat\fP() やディレクトリファイルディスクリプターを引き数を取る他のシステムコールやライブラリ関数 (\fBexecveat\fP(2), \fBfaccessat\fP(2), \fBfanotify_mark\fP(2), \fBfchmodat\fP(2), \fBfchownat\fP(2), \fBfstatat\fP(2), \fBfutimesat\fP(2), \fBlinkat\fP(2), \fBmkdirat\fP(2), \fBmknodat\fP(2), \fBname_to_handle_at\fP(2), \fBreadlinkat\fP(2), \fBrenameat\fP(2), \fBsymlinkat\fP(2), \fBunlinkat\fP(2), \fButimensat\fP(2) \fBmkfifoat\fP(3), \fBscandirat\fP(3)) は二つの理由から用意されている。 ここでは、 \fBopenat\fP コールに関して説明するが、この基本原理は他のインターフェースでも同じである。 最初の理由として、 \fBopenat\fP() を使うと、 アプリケーションは、 カレントワーキングディレクトリ以外のディレクトリで \fBopen\fP() を使ってファイルをオープンする際に起こり得る競合条件を避けることができる。 これらの競合条件は、 \fBopen\fP() に渡されたディレクトリプレフィックスの構成要素が \fBopen\fP() の呼び出しと並行して変化する可能性があるという点に由来している。 例えば、ファイル \fIpath/to/xxx\fP が存在する場合にファイル \fIpath/to/xxx.dep\fP を作成したいとする。 問題は、存在確認とファイル作成の間に、 \fIpath\fP や \fIto\fP (シンボリックリンクでもよい) が別の場所を指すように変更されることがあるということだ。 このような競合条件は、 対象のディレクトリに対するファイルディスクリプターをオープンし、 それから \fBfstatat\fP(2) や \fBopenat\fP() の \fIdirfd\fP 引き数としてそのファイルディスクリプターを指定することで、 避けることができる。 .\" .\" 二つ目として、 \fBopenat\fP() を使うと、アプリケーションが管理するファイルディスクリプターにより、 スレッド単位の「カレントワーキングディレクトリ」を実装することができる (この機能は、 \fI/proc/self/fd/dirfd\fP を使った方法でも実現することができるが、 効率の面で落とる)。 .SS O_DIRECT .LP \fBO_DIRECT\fP フラグを使用する場合、ユーザー空間バッファーの長さやアドレス、 I/O のファイルオフセットに関してアラインメントの制限が課されることがある。 Linux では、アラインメントの制限はファイルシステムやカーネルのバージョンに よって異なり、全く制限が存在しない場合もある。 しかしながら、現在のところ、指定されたファイルやファイルシステムに対して こうした制限があるかを見つけるための、アプリケーション向けのインターフェースで ファイルシステム非依存のものは存在しない。 いくつかのファイルシステムでは、制限を確認するための独自のインターフェースが 提供されている。例えば、 \fBxfsctl\fP(3) の \fBXFS_IOC_DIOINFO\fP 命令である。 .LP Linux 2.4 では、転送サイズ、 ユーザーバッファーのアライメント、ファイルオフセットは、 ファイルシステムの論理ブロックサイズの倍数でなければならない。 Linux 2.6.0 以降では、 内部で使われるストレージの論理ブロックサイズのアライメント (通常は 512 バイト) で十分である。 論理ブロックサイズは \fBioctl\fP(2) \fBBLKSSZGET\fP 操作や以下のシェルコマンドから知ることができる。 blockdev \-\-getss .LP メモリーバッファーがプライベートマッピング (\fBmmap\fP(2) の \fBMAP_PRIVATE\fP フラグで作成されたマッピング) の場合には、\fBO_DIRECT\fP I/O は \fBfork\fP(2) システムコールと同時に決して実行すべきではない (プライベートマッピングには、ヒープ領域に割り当てられたメモリーや静的に 割り当てたバッファーも含まれる)。非同期 I/O インターフェース (AIO) 経由 やプロセス内の他のスレッドから発行された、このような I/O は、 \fBfork\fP(2) が呼び出される前に完了されるべきである。 そうしなかった場合、データ破壊や、親プロセスや子プロセスでの予期しない 動作が起こる可能性がある。 \fBO_DIRECT\fP I/O 用のメモリーバッファーが \fBshmat\fP(2) や\fBMAP_SHARED\fP フラグ 付きの \fBmmap\fP(2) で作成された場合には、この制限はあてはまらない。 \fBmadvise\fP(2) でメモリーバッファーにアドバイス \fBMADV_DONTFORK\fP が設定され ている場合にも、この制限はあてはまらない(\fBMADV_DONTFORK\fP はそのメモリー バッファーが \fBfork\fP(2) 後に子プロセスからは利用できないことを保証するも のである)。 .LP \fBO_DIRECT\fP フラグは SGI IRIX で導入された。SGI IRIX にも Linux 2.4 と同様の (ユーザーバッファーの) アラインメントの制限がある。 また、IRIX には適切な配置とサイズを取得するための \fBfcntl\fP(2) コールがある。 FreeBSD 4.x も同じ名前のフラグを導入したが、アラインメントの制限はない。 .LP \fBO_DIRECT\fP が Linux でサポートされたのは、カーネルバージョン 2.4.10 である。 古い Linux カーネルは、このフラグを単に無視する。 \fBO_DIRECT\fP フラグをサポートしていないファイルシステムもあり、その場合は、 \fBO_DIRECT\fP を使用すると \fBopen\fP() は \fBEINVAL\fP で失敗する。 .LP アプリケーションは、同じファイル、 特に同じファイルの重複するバイト領域に対して、 \fBO_DIRECT\fP と通常の I/O を混ぜて使うのは避けるべきである。 ファイルシステムがこのような状況において一貫性の問題を正しく 扱うことができる場合であっても、全体の I/O スループットは どちらか一方を使用するときと比べて低速になるであろう。 同様に、アプリケーションは、同じファイルに対して \fBmmap\fP(2) と直接 I/O (\fBO_DIRECT\fP) を混ぜて使うのも避けるべきである。 .LP NFS で \fBO_DIRECT\fP を使った場合の動作はローカルのファイルシステムの場合と違う。 古いカーネルや、ある種の設定でコンパイルされたカーネルは、 \fBO_DIRECT\fP と NFS の組み合わせをサポートしていないかもしれない。 NFS プロトコル自体はサーバにフラグを渡す機能は持っていないので、 \fBO_DIRECT\fP I/O はクライアント上のページキャッシュをバイパスするだけになり、 サーバは I/O をキャッシュしているかもしれない。 クライアントは、 \fBO_DIRECT\fP の同期機構を保持するため、サーバに対して I/O を同期して行うように依頼する。 サーバによっては、こうした状況下、特に I/O サイズが小さい場合に 性能が大きく劣化する。 また、サーバによっては、I/O が安定したストレージにまで行われたと、 クライアントに対して嘘をつくものもある。 これは、サーバの電源故障が起こった際にデータの完全性が保たれない 危険は少しあるが、性能面での不利な条件を回避するために行われている。 Linux の NFS クライアントでは \fBO_DIRECT\fP I/O でのアラインメントの制限はない。 .PP まとめると、 \fBO_DIRECT\fP は、注意して使うべきであるが、強力なツールとなる可能性を持っている。 アプリケーションは \fBO_DIRECT\fP をデフォルトでは無効になっている性能向上のためのオプションと 考えておくのがよいであろう。 .PP .RS 「O_DIRECT でいつも困るのは、インターフェース全部が本当にお馬鹿な点だ。 たぶん危ないマインドコントロール剤で 頭がおかしくなったサルが設計したんじゃないかな」 \(em Linus .RE .SH バグ .\" FIXME . Check bugzilla report on open(O_ASYNC) .\" See http://bugzilla.kernel.org/show_bug.cgi?id=5993 現在のところ、 \fBopen\fP() の呼び出し時に \fBO_ASYNC\fP を指定してシグナル駆動 I/O を有効にすることはできない。 このフラグを有効にするには \fBfcntl\fP(2) を使用すること。 カーネルが \fBO_TMPFILE\fP 機能をサポートしているかを判定する際に、 \fBEISDIR\fP と \fBENOENT\fP の 2 つのエラーコードをチェックしなければならない。 .SH 関連項目 \fBchmod\fP(2), \fBchown\fP(2), \fBclose\fP(2), \fBdup\fP(2), \fBfcntl\fP(2), \fBlink\fP(2), \fBlseek\fP(2), \fBmknod\fP(2), \fBmmap\fP(2), \fBmount\fP(2), \fBopen_by_handle_at\fP(2), \fBread\fP(2), \fBsocket\fP(2), \fBstat\fP(2), \fBumask\fP(2), \fBunlink\fP(2), \fBwrite\fP(2), \fBfopen\fP(3), \fBfifo\fP(7), \fBpath_resolution\fP(7), \fBsymlink\fP(7) .SH この文書について この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.79 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。