.\" Copyright 1993 Giorgio Ciucci .\" .\" %%%LICENSE_START(VERBATIM) .\" Permission is granted to make and distribute verbatim copies of this .\" manual provided the copyright notice and this permission notice are .\" preserved on all copies. .\" .\" Permission is granted to copy and distribute modified versions of this .\" manual under the conditions for verbatim copying, provided that the .\" entire resulting derived work is distributed under the terms of a .\" permission notice identical to this one. .\" .\" Since the Linux kernel and libraries are constantly changing, this .\" manual page may be incorrect or out-of-date. The author(s) assume no .\" responsibility for errors or omissions, or for damages resulting from .\" the use of the information contained herein. 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Add example programs to this page. .\" .\"******************************************************************* .\" .\" This file was generated with po4a. 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System V メッセージ・キューへのメッセージの送信と、 メッセージの受信に使用される。呼び出し元プロセスは、 メッセージを送信するためにはメッセージ・キューに対する書き込み許可を、 メッセージを受信するためには読み出し許可を持っていなければならない。 .PP 呼び出し元プロセスは以下に示す構造体を用意し、この構造体への ポインタを \fImsgp\fP 引き数として渡す。 .in +4n .nf struct msgbuf { long mtype; /* message type, must be > 0 */ char mtext[1]; /* message data */ }; .fi .in .PP \fImtext\fP フィールドは配列 (または他の構造体) で、その大きさは 非負の整数である \fImsgsz\fP で指定される。 長さ 0 のメッセージ (つまり \fImtext\fP フィールドがないメッセージ) も認められている。 \fBmtype\fP フィールドは厳密に正の整数でなければならない。 この値は、メッセージを受信するプロセスでメッセージを選択するために 使用される (下記の \fBmsgrcv\fP() の説明を参照のこと)。 .SS msgsnd() \fBmsgsnd\fP() システムコールは \fImsgp\fP 引き数で指定されたメッセージのコピーを \fImsqid\fP で指定された識別子を持つメッセージ・キューへ追加する。 .PP キューに十分な空き容量がある場合、 \fBmsgsnd\fP() は直ちに成功する。 (キューの容量は、メッセージ・キューのデータ構造体の \fImsg_qbytes\fP フィールドで定義される。 キュー作成時にこのフィールドは \fBMSGMNB\fP に初期化されるが、この制限は \fBmsgctl\fP(2) を使って変更できる。) キューに十分な空き容量がない場合、 デフォルトでは \fBmsgsnd\fP() は空き容量ができるまで停止 (block) する。 \fImsgflg\fP に \fBIPC_NOWAIT\fP が指定された場合は、エラー \fBEAGAIN\fP で失敗する。 停止している \fBmsgsnd\fP() は以下の場合にも失敗する。 .IP * 2 キューが削除された。 この場合、 \fIerrno\fP は \fBEIDRM\fP に設定される。 .IP * シグナルが捕捉された。 この場合、 \fIerrno\fP は \fBEINTR\fP に設定される。 \fBsignal\fP(7) 参照。 (\fBmsgsnd\fP() は、たとえシグナルハンドラの設定時に \fBSA_RESTART\fP を指定していたとしても、シグナルハンドラによって割り込まれた後で 自動的に再スタートすることは決してない。) .PP 正常に終了した場合、メッセージ・キューのデータ構造体は以下のように 更新される: .IP \fImsg_lspid\fP には呼び出し元プロセスのプロセス ID が設定される。 .IP \fImsg_qnum\fP は 1 増加する。 .IP \fImsg_stime\fP には現在時刻が設定される。 .SS msgrcv() \fBmsgrcv\fP() システムコールは \fImsqid\fP で指定されたキューからメッセージを削除し、 \fImsgp\fP で指定されたバッファにそのメッセージを格納する。 .PP \fImsgsz\fP 引き数には \fImsgp\fP 引き数で指定された構造体の \fImtext\fP メンバーの最大のバイト数を指定する。 メッセージのテキストの長さが \fImsgsz\fP より大きい場合の動作は、 \fImsgflg\fP に \fBMSG_NOERROR\fP が指定されているかどうかで決まる。 \fBMSG_NOERROR\fP が指定されていれば、メッセージのテキストは切り詰められる (切り捨てられた部分は失われる)。 \fBMSG_NOERROR\fP が指定されていなければ、メッセージはキューから削除されず、 システムコールは \-1 を返して失敗し、 \fIerrno\fP に \fBE2BIG\fP が設定される。 .PP \fBMSG_COPY\fP が \fImsgflg\fP に指定されていない場合 (下記参照)、 \fImsgtyp\fP 引き数には要求するメッセージの型を指定する。 型は以下のように指定する: .IP * 2 \fImsgtyp\fP が 0 ならば、キューの最初にあるメッセージが読み込まれる。 .IP * \fImsgtyp\fP が 0 より大きい場合、 \fImsgflg\fP に \fBMSG_EXCEPT\fP が指定されていなければ、 \fImsgtyp\fP 型のキューの最初のメッセージが読み込まれる。 \fBMSG_EXCEPT\fP が指定された場合は、 \fImsgtyp\fP 型以外のキューの最初のメッセージが読み込まれる。 .IP * \fImsgtyp\fP が 0 より小さければ、 \fImsgtyp\fP の絶対値以下で最も小さい型を持つキューの最初のメッセージが読み込まれる。 .PP \fImsgflg\fP 引き数には、以下のフラグを任意の数だけ (0個も可)、これらの OR で指定する: .TP \fBIPC_NOWAIT\fP キューに要求された型のメッセージがない場合には直ちに返る。 システムコールは失敗し、 \fIerrno\fP には \fBENOMSG\fP が設定される。 .TP \fBMSG_COPY\fP (Linux 3.8 以降) .\" commit 4a674f34ba04a002244edaf891b5da7fc1473ae8 キューの中で \fImsgtyp\fP で指定した位置にあるメッセージのコピーを、キューを変更せずに (非破壊的に) 取り出す (メッセージの位置は 0 から順番に番号が割り当てられる)。 このフラグは \fBIPC_NOWAIT\fP と組み合わせて指定しなければならない。 その結果、指定した位置にメッセージがなかった場合、呼び出しはエラー \fBENOMSG\fP ですぐに失敗する。 \fBMSG_COPY\fP と \fBMSG_EXCEPT\fP は \fImsgtyp\fP の意味を相容れない方法で使用するため、この二つのフラグの両方を \fImsgtyp\fP に指定することはできない。 \fBMSG_COPY\fP フラグは、 カーネルのチェックポイント復元 (checkpoint\-restore) 機能の実装のために追加された。 このフラグはカーネルが \fBCONFIG_CHECKPOINT_RESTORE\fP オプションを有効にして作成された場合にのみ利用できる。 .TP \fBMSG_EXCEPT\fP 0 より大きな \fImsgtyp\fP と一緒に使用して、 \fImsgtyp\fP 以外のキューの最初のメッセージを読み込む。 .TP \fBMSG_NOERROR\fP \fImsgsz\fP バイトよりも長かった場合はメッセージのテキストを切り詰める。 .PP 要求された型のメッセージが存在せず、 \fImsgflg\fP に \fBIPC_NOWAIT\fP が指定されていなかった場合、呼び出し元プロセスは 以下のいずれかの状況になるまで停止 (block) される: .IP * 2 要求している型のメッセージがキューへ入れられた。 .IP * メッセージ・キューがシステムから削除された。 この場合、システムコールは失敗し、 \fIerrno\fP に \fBEIDRM\fP が設定される。 .IP * 呼び出し元プロセスがシグナルを捕獲した。 この場合、システムコールは失敗し、 \fIerrno\fP に \fBEINTR\fP が設定される。 (\fBmsgrcv\fP() は、たとえシグナルハンドラの設定時に \fBSA_RESTART\fP を指定していたとしても、シグナルハンドラによって割り込まれた後で 自動的に再スタートすることは決してない。) .PP 正常に終了した場合、メッセージ・キューのデータ構造体は以下のように 更新される: .IP \fImsg_lrpid\fP には呼び出し元プロセスのプロセス ID が設定される。 .IP \fImsg_qnum\fP は 1 減算される。 .IP \fImsg_rtime\fP には現在の時刻が設定される。 .SH 返り値 失敗した場合は、どちらの関数も \-1 を返し、エラーを \fIerrno\fP に表示する。成功した場合、 \fBmsgsnd\fP() は 0 を返し、 \fBmsgrcv\fP() は \fImtext\fP 配列に実際にコピーしたバイト数を返す。 .SH エラー \fBmsgsnd\fP() が失敗した場合、 \fBerrno\fP に以下の値のいずれかが設定される: .TP \fBEACCES\fP 呼び出し元プロセスにはメッセージ・キューに対する書き込み許可がなく、 \fBCAP_IPC_OWNER\fP ケーパビリティもない。 .TP \fBEAGAIN\fP \fImsg_qbytes\fP がキューの制限を超えていたため、メッセージを送ることができず、かつ \fImsgflg\fP に \fBIPC_NOWAIT\fP が指定されていた。 .TP \fBEFAULT\fP \fImsgp\fP が指しているアドレスがアクセス可能でない。 .TP \fBEIDRM\fP メッセージ・キューが削除された。 .TP \fBEINTR\fP メッセージ・キューが要求した条件を満たすまで停止している時に、 プロセスがシグナルを捕獲した。 .TP \fBEINVAL\fP \fImsqid\fP が不適切な値であるか、 \fImtype\fP が正の値でないか、 \fImsgsz\fP が不適切な値 (0 以下か、システムで決まる値 \fBMSGMAX\fP よりも大きい値) である。 .TP \fBENOMEM\fP \fImsgp\fP が指すメッセージのコピーを作成するのに十分なメモリがシステムに存在しない。 .PP \fBmsgrcv\fP() が失敗した場合には \fIerrno\fP に以下の値のいずれかが設定される: .TP \fBE2BIG\fP メッセージのテキストの長さが \fImsgsz\fP よりも大きく、 \fImsgflg\fP に \fBMSG_NOERROR\fP が設定されていなかった。 .TP \fBEACCES\fP 呼び出し元プロセスにはメッセージ・キューに対する読み込み許可がなく、 \fBCAP_IPC_OWNER\fP ケーパビリティもない。 .TP \fBEAGAIN\fP キューにはメッセージがなく、 \fImsgflg\fP に \fBIPC_NOWAIT\fP が指定された。 .TP \fBEFAULT\fP \fImsgp\fP が指しているアドレスがアクセス可能でない。 .TP \fBEIDRM\fP メッセージを受信するためにプロセスが停止している間に、 メッセージ・キューが削除された。 .TP \fBEINTR\fP メッセージを受けるためにプロセスが停止している間に、 プロセスがシグナルを捕獲した。 \fBsignal\fP(7) 参照。 .TP \fBEINVAL\fP \fImsgqid\fP が不正か、 \fImsgsz\fP が 0 より小さい。 .TP \fBEINVAL\fP (Linux 3.14 以降) \fImsgflg\fP に \fBMSG_COPY\fP が指定されたが、 \fBIPC_NOWAIT\fP が指定されていない。 .TP \fBEINVAL\fP (Linux 3.14 以降) \fImsgflg\fP に \fBMSG_COPY\fP と \fBMSG_EXCEPT\fP の両方が指定された。 .TP \fBENOMSG\fP \fImsgflg\fP に \fBIPC_NOWAIT\fP が設定されており、 メッセージ・キューに要求された型のメッセージが存在しなかった。 .TP \fBENOMSG\fP \fBIPC_NOWAIT\fP と \fBMSG_COPY\fP が \fImsgflg\fP に指定されたが、 キューには \fImsgtyp\fP 未満のメッセージしか入っていなかった。 .TP \fBENOSYS\fP (Linux 3.8 以降) \fImsgflg\fP に \fIMSG_COPY\fP が指定されたが、カーネルが \fBCONFIG_CHECKPOINT_RESTORE\fP なしで作成されている。 .SH 準拠 SVr4, POSIX.1\-2001. .\" MSG_COPY since glibc 2.18 フラグ \fBMSG_EXCEPT\fP と \fBMSG_COPY\fP は Linux 固有である。 これらの定義を得るには、機能検査マクロ \fB_GNU_SOURCE\fP を定義する。 .SH 注意 .\" Like Linux, the FreeBSD man pages still document .\" the inclusion of these header files. Linux や POSIX の全てのバージョンでは、 \fI\fP と \fI\fP のインクルードは必要ない。しかしながら、いくつかの古い実装ではこれらのヘッダファイルのインクルードが必要であり、 SVID でもこれらのインクルードをするように記載されている。このような古いシステムへの移植性を意図したアプリケーションではこれらのファイルをインクルードする必要があるかもしれない。 \fImsgp\fP 引き数は、 libc4, libc5, glibc 2.0, glibc 2.1 では \fIstruct msgbuf *\fP と宣言されている。glibc 2.2 以降では、 SUSv2 と SUSv3 の要求通り、\fIvoid *\fP と宣言されている。 以下は \fBmsgsnd\fP システムコールに影響するシステム制限である: .TP \fBMSGMAX\fP メッセージのテキストの最大サイズ: 8192 バイト (Linux では、この制限値は \fI/proc/sys/kernel/msgmax\fP 経由で読み出したり変更したりできる)。 .TP \fBMSGMNB\fP バイト単位でのメッセージ・キューのデフォルトの最大サイズ : 16384 バイト。 (Linux では、この制限値は \fI/proc/sys/kernel/msgmnb\fP 経由で読み出したり変更したりできる)。 スーパーユーザーは \fBmsgctl\fP(2) システムコールでメッセージ・キューのサイズを \fBMSGMNB\fP よりも大きい値に増やすことができる。 .PP 現在の実装では、システム全体のメッセージ・ヘッダーの最大数 (\fBMSGTQL\fP) と、システム全体のメッセージ・プールの最大バイト数 (\fBMSGPOOL\fP) に関して実装依存の制限はない。 .SH バグ .\" FIXME http://marc.info/?l=linux-kernel&m=139048542803605&w=2 .\" commit 4f87dac386cc43d5525da7a939d4b4e7edbea22c Linux 3.13 以前では、 \fBmsgrcv\fP() の呼び出しで \fBMSG_COPY\fP フラグは指定されたが \fBIPC_NOWAIT\fP は指定されず、かつメッセージキューに \fImsgtyp\fP 未満のメッセージしかない場合に、 \fBmsgrcv\fP() の呼び出しはキューに次のメッセージが書き込まれるまで停止していた。 新しいメッセージが書き込まれた時点で、 そのメッセージが指定された位置 \fImsgtyp\fP かどうかに\fI関わらず\fP、 \fBmsgrcv\fP() の呼び出しは新たに書き込まれたメッセージのコピーを返していた。 このバグは Linux 3.14で修正された。 .\" FIXME http://marc.info/?l=linux-kernel&m=139048542803605&w=2 .\" commit 4f87dac386cc43d5525da7a939d4b4e7edbea22c \fImsg_copy\fP に \fBMSG_COPY\fP と \fBMSG_EXCEPT\fP の両方を指定するのは、論理的なエラーである (なぜならこれらのフラグは \fImsgtyp\fP を別の意味で解釈するからである)。 Linux 3.13 以前では、\fBmsgrcv\fP() がこのエラーを検出しなかった。 このバグは Linux 3.14 で修正された。 .SH 関連項目 \fBmsgctl\fP(2), \fBmsgget\fP(2), \fBcapabilities\fP(7), \fBmq_overview\fP(7), \fBsvipc\fP(7) .SH この文書について この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.65 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。