.\" Copyright (C) 1995 Andries Brouwer (aeb@cwi.nl) .\" .\" %%%LICENSE_START(VERBATIM) .\" Permission is granted to make and distribute verbatim copies of this .\" manual provided the copyright notice and this permission notice are .\" preserved on all copies. .\" .\" Permission is granted to copy and distribute modified versions of this .\" manual under the conditions for verbatim copying, provided that the .\" entire resulting derived work is distributed under the terms of a .\" permission notice identical to this one. .\" .\" Since the Linux kernel and libraries are constantly changing, this .\" manual page may be incorrect or out-of-date. The author(s) assume no .\" responsibility for errors or omissions, or for damages resulting from .\" the use of the information contained herein. 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Translate the source file. .\" .\"******************************************************************* .\" .\" Japanese Version Copyright (c) 1997 HANATAKA Shinya .\" all rights reserved. .\" Translated Mon Dec 16 11:16:34 JST 2001 .\" by HANATAKA Shinya .\" Updated Thu Mar 6 2003 by Akihiro MOTOKI .\" Updated 2005-09-06, Akihiro MOTOKI .\" Updated 2008-04-04, Akihiro MOTOKI, LDP v2.79 .\" Updated 2008-07-31, Akihiro MOTOKI, LDP v3.05 .\" Updated 2012-04-30, Akihiro MOTOKI .\" Updated 2012-05-29, Akihiro MOTOKI .\" Updated 2013-05-06, Akihiro MOTOKI .\" .TH SYSLOG 2 2012\-11\-29 Linux "Linux Programmer's Manual" .SH 名前 syslog, klogctl \- カーネルのメッセージ・リング・バッファを読んだり消去したりする; console_loglevel の設定を行う .SH 書式 .nf \fBint syslog(int \fP\fItype\fP\fB, char *\fP\fIbufp\fP\fB, int \fP\fIlen\fP\fB);\fP \fB/* glibc ではラッパー関数は提供されていない */\fP .sp /* glibc のインタフェース */ .br \fB#include \fP .sp \fBint klogctl(int \fP\fItype\fP\fB, char *\fP\fIbufp\fP\fB, int \fP\fIlen\fP\fB);\fP .fi .SH 説明 (\fBsyslogd\fP(8) と話す) C ライブラリ関数の \fBsyslog\fP() が必要な場合は、 \fBsyslog\fP(3) を見ること。この名前のシステム・コールはカーネルの \fIprintk\fP() バッファを制御するものであり、glibc ラッパー関数は \fBklogctl\fP() と呼ばれている。 .SS "カーネル・ログ・バッファ (kernel log buffer)" .\" Under "General setup" ==> "Kernel log buffer size" .\" For 2.6, precisely the option seems to have appeared in 2.5.55. カーネルは長さ \fBLOG_BUF_LEN\fP の巡回式のバッファを持っており、 それにはカーネル関数の \fBprintk\fP() の引き数として与えられた メッセージが (そのログレベルにかかわらず) 格納される。 初期のカーネルでは \fBLOG_BUF_LEN\fP の値は 4096 であった。 カーネル 1.3.54 からは 8192、 カーネル 2.1.113 からは 16384 になり、 カーネル 2.4.23 以降および 2.6 以降ではカーネル設定オプション (\fBCONFIG_LOG_BUF_SHIFT\fP) で値を設定できるようになっている。最近のカーネルでは、コマンド 10 (下記参照) でバッファのサイズを問い合わせできる。 .SS コマンド \fItype\fP 引き数はこの関数が行う動作を決定する。 以下のリストに示す値を \fItype\fP に指定できる。 シンボル名はカーネルソースで定義されているが、ユーザ空間には公開されていない。 したがって、数字を使うか、名前を自分で定義する必要がある。 .TP \fBSYSLOG_ACTION_CLOSE\fP (0) ログをクローズする。現在のところ NOP である。 .TP \fBSYSLOG_ACTION_OPEN\fP (1) ログをオープンする。現在のところ NOP である。 .TP \fBSYSLOG_ACTION_READ\fP (2) ログを読み出す。 この呼び出しは、 カーネル・ログ・バッファが空でなくなるまで待って、 最大 \fIlen\fP バイトまで \fIbufp\fP が指すバッファに読み込み、 読み込んだバイト数を返す。 ログから読まれたバイトはログ・バッファから消える。 つまり、情報は一度しか読むことができない。 これはユーザーのプログラムが \fI/proc/kmsg\fP を読んだ時にカーネルによって実行される関数でもある。 .TP \fBSYSLOG_ACTION_READ_ALL\fP (3) リング・バッファに残っているメッセージをすべて読み出し、 \fIbufp\fP が指すバッファに格納する。 この呼び出しログ・バッファの最後の \fIlen\fP バイトを (非破壊的に) 読み出すが、 最後の「リング・バッファ消去」命令 (下記のコマンド 5 参照) 以降にバッファに書き込まれた情報しか読み出せない。 返り値は読み込んだバイト数である。 .TP \fBSYSLOG_ACTION_READ_CLEAR\fP (4) リング・バッファに残っているメッセージをすべて読み出し、クリアする。 この呼び出しは \fItype\fP 3 と全く同じことを行い、追加で「リング・バッファ消去」 ("clear ring buffer") コマンドも実行する。 .TP \fBSYSLOG_ACTION_CLEAR\fP (5) 「リング・バッファ消去」 (\"clear ring buffer\") コマンドのみを実行する。 引き数 \fIbufp\fP と \fIlen\fP は無視される。 .IP このコマンドは実際にリング・バッファをクリアするわけではなく、 コマンド 3 (\fBSYSLOG_ACTION_READ_ALL\fP) と 4 (\fBSYSLOG_ACTION_READ_CLEAR\fP で返す内容を決定するカーネルの管理変数を設定する。 このコマンドはコマンド 2 (\fBSYSLOG_ACTION_READ\fP) と 9 (\fBSYSLOG_ACTION_SIZE_UNREAD\fP) には影響を与えない。 .TP \fBSYSLOG_ACTION_CONSOLE_OFF\fP (6) printk のコンソールへの出力を無効にする。 コンソールのログレベルを最小に設定し、 コンソールにメッセージが出力されないようにする。 引き数 \fIbufp\fP と \fIlen\fP は無視される。 .TP \fBSYSLOG_ACTION_CONSOLE_ON\fP (7) コンソールのログレベルをデフォルトに設定し、 コンソールにメッセージが表示されるようにする。 引き数 \fIbufp\fP と \fIlen\fP は無視される。 .TP \fBSYSLOG_ACTION_CONSOLE_LEVEL\fP (8) コンソールのログレベルを \fIlen\fP で指定された値に設定する。 \fIlen\fP は 1 以上 8 以下の整数でなければならない。 詳細は \fBログレベル (loglevel)\fP の節を参照のこと。 引き数 \fIbufp\fP は無視される。 .TP \fBSYSLOG_ACTION_SIZE_UNREAD\fP (9) (Linux 2.4.10 以降) コマンド 2 (\fBSYSLOG_ACTION_READ\fP) でカーネル・ログ・バッファから読み出せるバイト数を返す。 引き数 \fIbufp\fP と \fIlen\fP は無視される。 .TP \fBSYSLOG_ACTION_SIZE_BUFFER\fP (10) (Linux 2.6.6 以降) カーネル・ログ・バッファの全体のサイズを返す。 引き数 \fIbufp\fP と \fIlen\fP は無視される。 .PP コマンド種別 3 と 10 以外のコマンドは全て特権が必要である。 バージョン 2.6.37 より前の Linux カーネルでは、 コマンド種別 3 と 10 は非特権プロセスも呼び出すことができる。 Linux 2.6.37 以降では、\fI/proc/sys/kernel/dmesg_restrict\fP が値 0 の場合に限り、 非特権プロセスはこれらのコマンドを呼び出すことができる。 Linux 2.6.37 より前では、「特権を持つ (privileged)」とは呼び出し者が \fBCAP_SYS_ADMIN\fP ケーパビリティを持つことを意味する。 Linux 2.6.37 以降では、「特権を持つ」とは呼び出し者が \fBCAP_SYS_ADMIN\fP ケーパビリティか (新しい) \fBCAP_SYSLOG\fP ケーパビリティのいずれかを持つことを意味する (この目的で \fBCAP_SYS_ADMIN\fP ケーパビリティを使うのは今は非推奨である)。 .SS "ログレベル (loglevel)" カーネル・ルーチンの \fBprintk\fP() は、ログレベルが \fIconsole_loglevel\fP 変数より小さいときにのみ、コンソールにメッセージを表示する。 \fIconsole_loglevel\fP は最初 \fBDEFAULT_CONSOLE_LOGLEVEL\fP (7) に設定されるが、起動時にカーネルの コマンド・ライン・オプションに "debug" という単語が含まれている場合は 10 に設定され、カーネル・フォールトが発生した場合には 15 に設定される (但し、10 や 15 という数字に意味はなく、8 と同等である)。 この変数は \fItype\fP が 8 の \fBsyslog\fP() の呼び出しによって設定され、値の範囲は 1\-8 である。 \fItype\fP が 6 もしくは 7 の \fBsyslog\fP() の呼び出しの場合、 console_loglevel は 1 (カーネル・パニックのみ)、 7 (デバッグ・メッセージ以外の全て) にそれぞれ設定される。 メッセージの各行はそれぞれにログレベルを持つ。このログレベルは \fIDEFAULT_MESSAGE_LOGLEVEL \- 1\fP (6) であるが、 (\fId\fP は 1\-7 の範囲の数字) で始まる行の ログレベルは \fId\fP である。 ログレベルの慣習的な意味は \fI\fP に以下のように定義されている: .nf #define KERN_EMERG "<0>" /* システムが使用不能 */ #define KERN_ALERT "<1>" /* 直ちに対処が必要 */ #define KERN_CRIT "<2>" /* 致命的な状態 */ #define KERN_ERR "<3>" /* エラー状態 */ #define KERN_WARNING "<4>" /* 警告状態 */ #define KERN_NOTICE "<5>" /* 通常状態だが大事な情報 */ #define KERN_INFO "<6>" /* 通知 */ #define KERN_DEBUG "<7>" /* デバッグレベルの情報 */ .fi .SH 返り値 \fItype\fP が 2, 3, 4 の場合、成功すると \fBsyslog\fP() は読み出したバイト数を返す。 \fItype\fP が 9 の場合、 カーネル・ログ・バッファにある現在読み出し可能なバイト数を返す。 \fItype\fP が 10 の場合、 カーネル・ログ・バッファの総量を返す。 \fItype\fP がそれ以外の値の場合、成功すると 0 が返される。 エラーの場合は、\-1\ が返り、 \fIerrno\fP にエラーを示す値が設定される。 .SH エラー .TP \fBEINVAL\fP 不正な引き数 (具体的には、 \fItype\fP が正しくない、もしくは \fItype\fP が 2, 3, 4 の場合に \fIbuf\fP が NULL か \fIlen\fP が 0 未満である、もしくは \fItype\fP が 8 の場合に \fIlevel\fP が 1 以上 8 以下の範囲に入っていない)。 .TP \fBENOSYS\fP カーネルの設定オプション \fBCONFIG_PRINTK\fP を無効にしてカーネルがコンパイルされているため、 \fBsyslog\fP() システムコールが利用できない。 .TP \fBEPERM\fP 十分な権限を持たないプロセス (正確にはケーパビリティ \fBCAP_SYS_ADMIN\fP も \fBCAP_SYSLOG\fP も持たないプロセス) が console_loglevel を変更しようとしたか、 カーネル・メッセージ・リングを消去しようとした。 .TP \fBERESTARTSYS\fP システム・コールがシグナルによって割り込まれ、何も読み出せなかった。 (トレース中にしか発生することはない) .SH 準拠 このシステム・コールは Linux 特有であり、移植を意図したプログラムでは 使用してはいけない。 .SH 注意 .\" In libc4 and libc5 the number of this call was defined by .\" .BR SYS_klog . .\" In glibc 2.0 the syscall is baptized .\" .BR klogctl (). かなり初期の頃から、同じ名前を持つシステムコールとライブラリルーチンが 全く異なる別物であるのは不幸なことだと指摘されてきた。 .SH 関連項目 \fBsyslog\fP(3), \fBcapabilities\fP(7) .SH この文書について この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.65 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。