.\" Copyright (C) 2007 Michael Kerrisk .\" drawing on material by Justin Pryzby .\" .\" %%%LICENSE_START(PERMISSIVE_MISC) .\" Permission is hereby granted, free of charge, to any person obtaining .\" a copy of this software and associated documentation files (the .\" "Software"), to deal in the Software without restriction, including .\" without limitation the rights to use, copy, modify, merge, publish, .\" distribute, sublicense, and/or sell copies of the Software, and to .\" permit persons to whom the Software is furnished to do so, subject to .\" the following conditions: .\" .\" The above copyright notice and this permission notice shall be .\" included in all copies or substantial portions of the Software. .\" .\" THE SOFTWARE IS PROVIDED "AS IS", WITHOUT WARRANTY OF ANY KIND, .\" EXPRESS OR IMPLIED, INCLUDING BUT NOT LIMITED TO THE WARRANTIES OF .\" MERCHANTABILITY, FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE AND NONINFRINGEMENT. .\" IN NO EVENT SHALL THE AUTHORS OR COPYRIGHT HOLDERS BE LIABLE FOR ANY .\" CLAIM, DAMAGES OR OTHER LIABILITY, WHETHER IN AN ACTION OF CONTRACT, .\" TORT OR OTHERWISE, ARISING FROM, OUT OF OR IN CONNECTION WITH THE .\" SOFTWARE OR THE USE OR OTHER DEALINGS IN THE SOFTWARE. .\" %%%LICENSE_END .\" .\" References: .\" glibc manual and source .\"******************************************************************* .\" .\" This file was generated with po4a. Translate the source file. .\" .\"******************************************************************* .\" .\" Japanese Version Copyright (c) 2007 Akihiro MOTOKI .\" all rights reserved. .\" Translated 2007-10-16, Akihiro MOTOKI , LDP v2.66 .\" .TH BACKTRACE 3 2008\-06\-14 GNU "Linux Programmer's Manual" .SH 名前 backtrace, backtrace_symbols, backtrace_symbols_fd \- アプリケーション自身でのデバッグのサポート .SH 書式 \fB#include \fP \fBint backtrace(void\fP \fB**\fP\fIbuffer\fP\fB,\fP \fBint\fP \fIsize\fP\fB);\fP \fBchar **backtrace_symbols(void *const\fP \fB*\fP\fIbuffer\fP\fB,\fP \fBint\fP \fIsize\fP\fB);\fP \fBvoid backtrace_symbols_fd(void *const\fP \fB*\fP\fIbuffer\fP\fB,\fP \fBint\fP \fIsize\fP\fB,\fP \fBint\fP \fIfd\fP\fB);\fP .SH 説明 \fBbacktrace\fP() は、呼び出したプログラムのバックトレースを \fIbuffer\fP が指す配列に入れて返す。バックトレースは、プログラムで 現在動作中の関数呼び出しの並びである。 \fIbuffer\fP が指す配列の個々の要素は \fIvoid\ *\fP 型で、 対応するスタックフレームからのリターンアドレスである。 \fIsize\fP 引き数は \fIbuffer\fP に格納できるアドレスの最大個数を指定する。 バックトレースが \fIsize\fP より大きい場合、 \fIsize\fP 個の直近の関数呼び出しに対応するアドレスが返される。 完全なバックトレースを取得するためには、確実に \fIbuffer\fP と \fIsize\fP が十分大きくなるようにすること。 \fBbacktrace\fP() によって \fIbuffer\fP にアドレスの集合が得られたら、 \fBbacktrace_symbols\fP() によって、アドレス集合を、そのアドレスをシンボルで表した文字列の配列 に翻訳できる。 \fIsize\fP 引き数は \fIbuffer\fP に格納されたアドレスの数を指定する。 個々のアドレスのシンボル表現は、関数名 (特定できた場合)、 関数へのオフセット (16進表記)、実際のリターンアドレス (16進表記) から構成される。 \fBbacktrace_symbols\fP() の実行結果としては、 文字列ポインタの配列のアドレスが返される。 この配列は \fBbacktrace_symbols\fP() によって \fBmalloc\fP(3) され、呼び出し側で free しなければならない (ポインタの配列が指す個々の文字列は free する必要はないし、 free すべきでもない)。 \fBbacktrace_symbols_fd\fP() は、 \fBbacktrace_symbols\fP() と同じ引き数 \fIbuffer\fP と \fIsize\fP をとるが、呼び出し側に文字列の配列を返す代わりに、 文字列をファイルディスクリプタ \fIfd\fP に 1 行に 1 エントリの形で書き込む。 \fBbacktrace_symbols_fd\fP() は \fBmalloc\fP(3) を呼び出さない。 そのため、これに続く関数が失敗する可能性がある状況でも利用できる。 .SH 返り値 \fBbacktrace\fP() は \fIbuffer\fP に格納したアドレスの個数を返す。その個数は \fIsize\fP より大きくなることはない。 返り値が \fIsize\fP より小さい場合、バックトレース全体が格納されている。返り値が \fIsize\fP と等しい場合、バックトレースは切り詰められているかもしれない。 切り詰められた場合、最も古いスタックフレームのアドレスは 返されないことになる。 \fBbacktrace_symbols\fP() は、成功すると、この呼び出しで \fBmalloc\fP(3) された配列へのポインタを返す。 エラーの場合、 NULL を返す。 .SH バージョン \fBbacktrace\fP(), \fBbacktrace_symbols\fP(), \fBbacktrace_symbols_fd\fP() はバージョン 2.1 以降の glibc で提供されている。 .SH 準拠 これらの関数は GNU による拡張である。 .SH 注意 これらの関数は、関数のリターンアドレスがスタック上でどのように格納されるか に関してある仮定を置いている。 以下の点に注意。 .IP * 3 (\fBgcc\fP(1) の 0 以外の最適化レベルで暗黙のうちに行われる) フレームポインタの省略を行うと、これらの前提が崩れる可能性がある。 .IP * インライン関数はスタックフレームを持たない。 .IP * 末尾呼び出しの最適化 (tail\-call optimization) を行うと、 あるスタックフレームが別のスタックフレームを置き換える可能性がある。 .PP シンボル名は特別なリンカ・オプションを使用しないと利用できない場合がある。 GNU リンカを使用するシステムでは、 \fI\-rdynamic\fP リンカ・オプションを使う必要がある。 "static" な関数のシンボル名は公開されず、 バックトレースでは利用できない点に注意すること。 .SH 例 以下のプログラムは、 \fBbacktrace\fP() と \fBbacktrace_symbols\fP() の使用例を示したものである。 以下に示すシェルのセッションは、 このプログラムを動かした際の実行例である。 .nf .in +4n $\fB cc \-rdynamic prog.c \-o prog\fP $\fB ./prog 3\fP backtrace() returned 8 addresses \&./prog(myfunc3+0x5c) [0x80487f0] \&./prog [0x8048871] \&./prog(myfunc+0x21) [0x8048894] \&./prog(myfunc+0x1a) [0x804888d] \&./prog(myfunc+0x1a) [0x804888d] \&./prog(main+0x65) [0x80488fb] \&/lib/libc.so.6(__libc_start_main+0xdc) [0xb7e38f9c] \&./prog [0x8048711] .in .fi .SS プログラムのソース \& .nf #include #include #include #include void myfunc3(void) { int j, nptrs; #define SIZE 100 void *buffer[100]; char **strings; nptrs = backtrace(buffer, SIZE); printf("backtrace() returned %d addresses\en", nptrs); /* backtrace_symbols_fd(buffer, nptrs, STDOUT_FILENO) を 呼び出しても、以下と同様の出力が得られる。 */ strings = backtrace_symbols(buffer, nptrs); if (strings == NULL) { perror("backtrace_symbols"); exit(EXIT_FAILURE); } for (j = 0; j < nptrs; j++) printf("%s\en", strings[j]); free(strings); } static void /* "static" はシンボルを公開しないことを意味する */ myfunc2(void) { myfunc3(); } void myfunc(int ncalls) { if (ncalls > 1) myfunc(ncalls \- 1); else myfunc2(); } int main(int argc, char *argv[]) { if (argc != 2) { fprintf(stderr, "%s num\-calls\en", argv[0]); exit(EXIT_FAILURE); } myfunc(atoi(argv[1])); exit(EXIT_SUCCESS); } .fi .SH 関連項目 \fBgcc\fP(1), \fBld\fP(1), \fBdlopen\fP(3), \fBmalloc\fP(3) .SH この文書について この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.65 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。