NAME¶
kterm - 多国語用 X
端末エミュレータ
SYNOPSIS¶
kterm [-
toolkitoption ...] [-
xtermoption ...] [-option
...]
DESCRIPTION¶
kterm は、
xterm(1)
をもとにした、多国語用端末のエミュレー
タです。
xterm
との主な違いは、ISO2022
で符号化された多国語テキス
トを扱うことができ、色の付いたテキストを表示でき、ステータスライン機能
を持つという点です。多国語テキストの入力には、X
Input Method (XIM) プ
ロトコルと、kinput2
プロトコルの両方を利用することができます。詳しくは
USING XIM と USING KINPUT2
の節を参照してください。
OPTIONS¶
kterm は、
xterm(1)
のコマンドラインオプションに加え、
以下のオプションを受け付けます:
- -dfl
- kterm
がフォントを動的に(要求があったときに)ロードすることを指示
します。大きなフォントをロードする際に、
kterm や X サーバが一瞬
止まってしまうことがあります。
- +dfl
- kterm
がフォントをあらかじめロードしておくことを指示します。
- -fl fontlist
- フォントのリストを指定します。fontlist
は任意のワイルドカードを
含む XLFD
を、カンマで区切って並べたリストです。
kterm は、必要な
文字セットを持つフォントをこのリストから選択します。本リリースでは以下
の文字セットを使用することがあります:
"iso8859-1",
"iso8859-2",
"iso8859-3",
"iso8859-4",
"iso8859-5",
"iso8859-6",
"iso8859-7",
"iso8859-8",
"iso8859-9",
"jisx0201.1976-0",
"jisx0208.1990-0" または
"jisx0208.1983-0",
"jisx0212.1990-0",
"gb2312.1980-0",
"ksc5601.1987-0",
"jisc6226.1978-0" または
"jisx0208.1983-0"。
- -fn iso8859/1-font
- Latin-1 (ASCII を含む)
のテキストを表示する時に用いる、通常の(ボールド
でない) ISO8859/1
のフォントを指定します。指定されていない時は、
fontlist
の中から探します。
- -fr roman-kana-font
- 通常の JISX0201
のフォントを指定します。このフォントは、ISO8859/1
のフォ
ントと同じ高さと幅を持っていなければなりません。指定されていない時は、
fontlist
の中から探します。
- -fk kanji-font
- 漢字テキストを表示する時に用いる通常の
JISX0208
のフォントを指定します。
このフォントは、ISO8859/1
のフォントと同じ高さで、2倍の幅を持っていな
ければなりません。指定されていない時は、
fontlist の中から探しま
す。
- -flb bold-fontlist
- -fb bold-font
- -frb roman-kana-bold-font
- -fkb kanji-bold-font
- ボールドフォントを指定します。
- -lsp dots
- このオプションは各行間に挿入するスペースのドット数を指定します。
- -ka
- kterm が X
サーバとのソケット接続に
KEEPALIVE
オプションを用いる
ことを指示します。サーバが電源をしばしば切る
X
端末であるような時に有
用です。
- +ka
- kterm が X
サーバとのソケット接続に
KEEPALIVE
オプションを用いな
いことを指示します。
- -km kanji-mode
- pty
とやりとりされる漢字コードを指定します。漢字モードが
``euc'' の場
合、入出力は日本語
EUC
であると仮定します。``sjis''
の場合、Shift-JIS
コード(マイクロソフト漢字コード)であると仮定します。
- -sn
- デフォルトでは、ステータスラインは(ウインドウの他の部分に対して相対的
に)反転します。このオプションはステータスラインを反転しなくします(しか
し、箱で囲まれます)。
- +sn
- このオプションはステータスラインを反転します。
- -st
- ステータスラインがスタート時に表示されるようにします。
- +st
- ステータスラインがスタート時に表示されないようにします。
- -version
- 単に kterm
のバージョンを表示します。
- -xim
- kterm の起動時に IM
をオープン(しようと)することを指示します。適
切な IM
サーバが走っていない場合は、
kterm
はそれを待つことはなく、
サーバが利用可能になってから接続を行います。
- +xim
- kterm が起動時に IM
をオープンしないことを指示します。
RESOURCES¶
このプログラムは、
xterm
のすべてのリソースと同様に、以下の
vt100
ウィジェット用リソースも解釈します。
- dynamicFontLoad (class DynamicFontLoad)
- kterm
がフォントを動的にロードするかどうかを指定します。
デフォルトは ``true''
です。
- fontList (class FontList)
- フォント名のリストを指定します。デフォルトは
``-*-fixed-medium-r-normal--14-*, -*-gothic-medium-r-normal--14-*,
-*-mincho-medium-r-normal--14-*'' です。
- boldFontList (class FontList)
- ボールドフォント名のリストを指定します。デフォルトでは指定しません。
- font (class Font)
- Latin-1
のフォント名を指定します。デフォルトでは指定しません。
- boldFont (class Font)
- Latin-1
のボールドフォント名を指定します。デフォルトでは指定しません。
- romanKanaFont (class RomanKanaFont)
- JIS-Roman
と片仮名のフォント名を指定します。デフォルトでは指定しません。
- romanKanaBoldFont (class RomanKanaFont)
- JIS-Roman
と片仮名のボールドフォント名を指定します。デフォルトでは指定しません。
- kanjiFont (class KanjiFont)
- 漢字のフォント名を指定します。デフォルトでは指定しません。
- kanjiBoldFont (class KanjiFont)
- 漢字のボールドフォント名を指定します。デフォルトでは指定しません。
- kanjiMode (class KanjiMode)
- pty
とやりとりする漢字コードを指定します。デフォルトは
``jis'' です。
- lineSpace (class LineSpace)
- 各行間に挿入するスペース量を指定します。デフォルトは
``0'' です。
- keepAlive (class KeepAlive)
- kterm が X
サーバとのソケット接続に
KEEPALIVE
オプションを用いるかどうか指定します。
デフォルトは ``false''
です。
- statusLine (class StatusLine)
- ステータスラインをスタート時に表示します。デフォルトは
``false'' です。
- statusNormal (class StatusNormal)
- ステータスラインが反転しないことを指定します。デフォルトは
``false'' です。
- forwardKeyEvent (class ForwardKeyEvent)
- false
だと変換サーバにキーイベントを送りません。この場合、フォーカスが
kterm
にあるがポインタは他のウインドウ上にある時には変換サーバは
イベントを受け取ることができません。その代わり遅いネットワークでは変換
時のレスポンスが改善されることがあります。デフォルトは
``true'' です。
- openIm (class OpenIm)
- kterm の起動時に IM
をオープン(しようと)するかどうかを指定します。
デフォルトは ``false''
です。
- eucJPLocale (class EucJPLocale)
- 入力メソッドのロケールを、カンマで区切ったリストの形式で指定します。デ
フォルトは``ja_JP.eucJP,ja_JP.ujis,ja_JP.EUC,japanese.euc,
Japanese-EUC,ja,japan''
です。詳しくは USING XIM
の節を参照してくださ
い。
- inputMethod (class InputMethod)
- 入力メソッドモディファイアを指定します。デフォルトでは指定しません。
(これは、環境変数
XMODIFIERS
を使用するという意味です)
- preeditType (class PreeditType)
- XIM
プロトコルで用いる入力スタイルを、カンマで区切ったリストの形式で指
定します。現在は
``OverTheSpot'' と ``Root''
がサポートされています。
デフォルトは ``OverTheSpot,Root''
です。
ACTIONS¶
vt100
のトランスレーションリソース内で利用できるアクションが以下
のように追加されています:
- open-im([input-method])
- このアクションは、指定された入力メソッドモディファイアの
IM をオープン
(しようと)します。もし
input-method
が省略されれば、最後に指定さ
れたモディファイアがそのまま使用されます。もし
input-method がキー ワード
XMODIFIERS
ならば、環境変数
XMODIFIERS
が使用されます。
- close-im()
- このアクションは IM
をクローズします。
- begin-conversion(conversion-atom)
- このアクションは、kinput2
プロトコルを用いて、テキスト入力のための変換
を開始します。日本語変換のための
conversion-atom は ``_JAPANESE_CONVERSION''
です。
TERMCAP¶
kterm で利用できる
termcap(5)
エントリには、``kterm'', ``xterm'',
``vt102'', ``vt100'' および ``ansi''
があります。
USING XIM¶
kterm
は、まず国際環境(ロケール)を、
vt100 リソース "eucJPLocale"
を用いて設定します。環境変数
LANG
は無視されます。これは
kterm が日本語 EUC
を内部入力コードとして用いているためです。も
し、お使いのシステムが、デフォルトで用意されているロケール名をサポート
していない場合は、app-defaults
ファイルに適切に設定してください。その
後
kterm
は、ロケールモディファイアを、リソース
"inputMethod" ま
たは環境変数 XMODIFIERS
に従って設定します。
kterm が、"-xim"
オプションで起動されたり、vtMenu
内の "Open Input Method"
が選択されると、
kterm
は単に IM
サーバの起動を知ら
せるためのコールバックを登録することしかしません。この時点で適切なサー
バが走っていたり、後から利用可能になると
kterm はそのサーバに接
続します。変換の開始は、IM
サーバの設定に依存します。
もし、
kterm が kinput2
プロトコルのサーバと接続していると、IM
は
オープンできません。
さらに詳しい情報(テキストの入力/変換/修正方法など)は変換サーバのドキュ
メント(
kinput2(1))を参照して下さい。
日本語以外の言語
日本語以外の言語を入力するには、
vt100 リソース "eucJPLocale" を
必要なロケール名に設定し、漢字モードを("-km
euc" オプション、
"*vt100.kanjiMode: euc"
リソース、あるいは
vtMenu の "Japanese EUC Mode"
エントリを用いて)日本語
EUC
に設定してください。日本語
EUC モー ドでは、IM
から入力された文字は、修正されずに
pty
に渡されるので、この
方法はどのようなロケールに対しても動作するはずです。ただし、この機構は、
将来変更される可能性があります。
注意
接続している IM
サーバがあるタイミングで死ぬと
kterm がハングし
てしまうことがあります。ある
kterm
上でそれに接続しているサーバ、
および、
kterm
と接続を確立しようとしているサーバを殺してはいけま
せん。IM
サーバを殺すときは、どの
kterm
もそのサーバに接続してい
ないことを必ず確かめてください。
お知らせ
kterm は、X11R5 に基づく XIMP
プロトコルを用いたサーバとは通信で
きません。
デフォルトでは、control-Kanji
キーを押すと、kinput2
プロトコルを用いた
日本語テキストのための変換が始まります。
kinput2(1) などの変換サー
バはそれまでに走らせてある必要があり、でなければ
`Conversion Server not found'
という警告メッセージが現れます。他の言語については、もしサー
バが利用可能ならば、トランスレーションテーブルを変更することによって、
変換を開始するためのキーをバインドすることができます。
IM
がオープンされ(ようとし)ている場合は、kinput2
プロトコルを用いた変
換は開始できません。
さらに詳しい情報(テキストの入力/変換/修正方法など)は変換サーバのドキュ
メント(
kinput2(1))を参照して下さい。
SEE ALSO¶
xterm(1),
resize(1), X(1), kinput2(1),
pty(4),
tty(4)
``Xterm Control Sequences''
BUGS¶
kterm
は2バイト文字が1バイト文字の二倍の幅を持っているものと仮定
します。不定幅のフォントは
xterm
同様扱うことができません。
本バージョンでは JIS
モードで漢字を入力する際、``ESC
$ B'' を漢字文字
セットの割当に用います。
AUTHORS¶
以下を含む多くの人々:
佐野勝也
(株式会社東芝),
入江英夫
(ソニー株式会社),
加藤朗 (東京大学),
有座道春 (株式会社 SRA),
石曽根信 (株式会社 SRA),
籠谷裕人 (岡山大学),
武川進
(日本電信電話株式会社)