.\" Copyright (C) 1997 Andries Brouwer (aeb@cwi.nl) .\" and Copyright (C) 2006, Michael Kerrisk .\" .\" %%%LICENSE_START(VERBATIM) .\" Permission is granted to make and distribute verbatim copies of this .\" manual provided the copyright notice and this permission notice are .\" preserved on all copies. .\" .\" Permission is granted to copy and distribute modified versions of this .\" manual under the conditions for verbatim copying, provided that the .\" entire resulting derived work is distributed under the terms of a .\" permission notice identical to this one. .\" .\" Since the Linux kernel and libraries are constantly changing, this .\" manual page may be incorrect or out-of-date. The author(s) assume no .\" responsibility for errors or omissions, or for damages resulting from .\" the use of the information contained herein. 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\-1 : (timeout_ts.tv_sec * 1000 + timeout_ts.tv_nsec / 1000000); sigprocmask(SIG_SETMASK, &sigmask, &origmask); ready = poll(&fds, nfds, timeout); sigprocmask(SIG_SETMASK, &origmask, NULL); .fi .PP なぜ \fBppoll\fP() が必要なのかについての説明は \fBpselect\fP(2) の説明を参照のこと。 \fIsigmask\fP 引き数に NULL が指定された場合、シグナルマスクの操作は行われない (したがって、 \fBppoll\fP() の \fBpoll\fP() との違いは \fItimeout\fP 引き数の精度だけとなる)。 \fItimeout\fP 引き数は \fBppoll\fP() が停止する時間の上限を指定するものである。 この引き数には以下の型の構造体へのポインターを指定する。 .in +4n .nf struct timespec { long tv_sec; /* seconds */ long tv_nsec; /* nanoseconds */ }; .fi .in \fItimeout_ts\fP に NULL が指定された場合、 \fBppoll\fP は無限に停止することがあり得る。 .SH 返り値 成功した場合は正の数を返す。この数は 0 以外の \fIrevents\fP 要素を持つ構造体の数である (別の言い方をすると、これらのディスクリプター にはイベントかエラー報告がある)。 値 0 は、タイムアウトとなり、どのファイルディスクリプターでもイベントが 発生しなかったことを示す。エラーの場合は \-1 が返され、 \fIerrno\fP が適切に設定される。 .SH エラー .TP \fBEFAULT\fP 引き数として指定した配列が、呼び出したプロセスのアドレス空間に 含まれていない。 .TP \fBEINTR\fP 要求されたイベントのどれかが起こる前にシグナルが発生した。 \fBsignal\fP(7) 参照。 .TP \fBEINVAL\fP \fInfds\fP の値が \fBRLIMIT_NOFILE\fP を超えた。 .TP \fBENOMEM\fP ファイルディスクリプターテーブルを確保するためのメモリーがない。 .SH バージョン .\" library call was introduced in libc 5.4.28 \fBpoll\fP() システムコールは Linux 2.1.23 で導入された。 このシステムコールが存在しない古いカーネルでは、 glibc (や古い Linux libc) は \fBselect\fP(2) を使用して \fBpoll\fP() ラッパー関数のエミュレーションを行う。 \fBppoll\fP() システムコールは カーネル 2.6.16 で Linux に追加された。 \fBppoll\fP() ライブラリコールは glibc 2.4 に追加された。 .SH 準拠 .\" NetBSD 3.0 has a pollts() which is like Linux ppoll(). \fBpoll\fP() は POSIX.1\-2001 に準拠している。 \fBppoll\fP() は Linux 固有である。 .SH 注意 いくつかの実装では、値 \-1 を持った非標準の定数 \fBINFTIM\fP が定義されており、 \fBpoll\fP() の \fItimeout\fP の指定に使用できる。 この定数は glibc では定義されていない。 \fBpoll\fP() で監視中のファイルディスクリプターが別のスレッドによってクローズされた場合に何が起こるかの議論については、 \fBselect\fP(2) を参照してほしい。 .SS "C ライブラリとカーネル ABI の違い" Linux の \fBppoll\fP() システムコールは \fItimeout_ts\fP 引き数を変更する。 しかし、glibc のラッパー関数は、システムコールに渡す timeout 引き数 としてローカル変数を使うことでこの動作を隠蔽している。 このため、glibc の \fBppoll\fP() 関数では \fItimeout_ts\fP 引き数は変更されない。 素の \fBppoll\fP() システムコールは 5 番目の引き数 \fIsize_t sigsetsize\fP をとる。 この引き数は \fIsigmask\fP 引き数のバイト単位のサイズを指定する。 glibc の \fBppoll\fP() ラッパー関数は、この引き数に固定値 (\fIsizeof(sigset_t)\fP と同じ) を指定する。 .SH バグ \fBselect\fP(2) の「バグ」の節に書かれている、誤った準備完了通知 (spurious readiness notifications) についての議論を参照のこと。 .SH 関連項目 \fBrestart_syscall\fP(2), \fBselect\fP(2), \fBselect_tut\fP(2), \fBtime\fP(7) .SH この文書について この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.79 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。