.\" t .\" Copyright (c) 1992 Drew Eckhardt (drew@cs.colorado.edu), March 28, 1992 .\" Parts Copyright (c) 1995 Nicolai Langfeldt (janl@ifi.uio.no), 1/1/95 .\" and Copyright (c) 2006, 2007, 2014 Michael Kerrisk .\" .\" %%%LICENSE_START(VERBATIM) .\" Permission is granted to make and distribute verbatim copies of this .\" manual provided the copyright notice and this permission notice are .\" preserved on all copies. .\" .\" Permission is granted to copy and distribute modified versions of this .\" manual under the conditions for verbatim copying, provided that the .\" entire resulting derived work is distributed under the terms of a .\" permission notice identical to this one. .\" .\" Since the Linux kernel and libraries are constantly changing, this .\" manual page may be incorrect or out-of-date. The author(s) assume no .\" responsibility for errors or omissions, or for damages resulting from .\" the use of the information contained herein. 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S_IFMT 0170000 ファイル種別を示すビット領域を表すビットマスク S_IFSOCK 0140000 ソケット S_IFLNK 0120000 シンボリックリンク S_IFREG 0100000 通常のファイル S_IFBLK 0060000 ブロックデバイス S_IFDIR 0040000 ディレクトリ S_IFCHR 0020000 キャラクターデバイス S_IFIFO 0010000 FIFO .TE .in .PP したがって、(例えば) 通常のファイルかどうかを検査するには、以下のようにすればよい。 .nf .in +4n stat(pathname, &sb); if ((sb.st_mode & S_IFMT) == S_IFREG) { /* Handle regular file */ } .in .fi .PP 上記の形の検査はよくあるので、 POSIX では以下のマクロが定義されており、 \fIst_mode\fP のファイル種別の検査をより簡単に書けるようになっている。 .RS 4 .TP 1.2i \fBS_ISREG\fP(m) 通常のファイルか? .TP \fBS_ISDIR\fP(m) ディレクトリか? .TP \fBS_ISCHR\fP(m) キャラクターデバイスか? .TP \fBS_ISBLK\fP(m) ブロックデバイスか? .TP \fBS_ISFIFO\fP(m) FIFO (名前付きパイプ) か? .TP \fBS_ISLNK\fP(m) シンボリックリンクか? (POSIX.1\-1996 にはない) .TP \fBS_ISSOCK\fP(m) ソケットか? (POSIX.1\-1996 にはない) .RE .PP 上で挙げたコードは以下のように書き換えることができる。 .nf .in +4n stat(pathname, &sb); if (S_ISREG(sb.st_mode)) { /* Handle regular file */ } .in .fi .PP 上記のほとんどのファイル種別検査マクロの定義は、 機能検査マクロ \fB_BSD_SOURCE\fP (glibc 2.19 以前の場合)、 \fB_SVID_SOURCE\fP (glibc 2.19 以前の場合)、 \fB_DEFAULT_SOURCE\fP (glibc 2.20 以降の場合) のいずれかが定義されている場合に公開される。 さらに、 \fBS_IFSOCK\fP と \fBS_ISSOCK\fP 以外の上記のすべてのマクロの定義は \fB_XOPEN_SOURCE\fP が定義されている場合にも公開される。 \fBS_IFSOCK\fP の定義は \fB_XOPEN_SOURCE\fP が値 500 以上で定義された場合にも公開される。 \fBS_ISSOCK\fP() の定義が公開されるのは以下の機能検査マクロが定義されている場合である: \fB_BSD_SOURCE\fP (glibc 2.19 以前の場合)、 \fB_DEFAULT_SOURCE\fP (glibc 2.20 以降の場合)、 値 500 以上の \fB_XOPEN_SOURCE\fP、 値が 200112L 以上の \fB_POSIX_C_SOURCE\fP。 .PP 以下のマスク値が \fIst_mode\fP フィールドのファイルのアクセス許可の検査用に定義されている。 .in +4n .TS lB l l. S_ISUID 0004000 set\-user\-ID bit S_ISGID 0002000 set\-group\-ID bit (下記参照) S_ISVTX 0001000 スティッキービット (下記参照) S_IRWXU 00700 ファイル所有者のアクセス許可用のビットマスク S_IRUSR 00400 所有者の読み込み許可 S_IWUSR 00200 所有者の書き込み許可 S_IXUSR 00100 所有者の実行許可 S_IRWXG 00070 グループのアクセス許可用のビットマスク S_IRGRP 00040 グループの読み込み許可 S_IWGRP 00020 グループの書き込み許可 S_IXGRP 00010 グループの実行許可 S_IRWXO 00007 T{ 他人 (others) のアクセス許可用のビットマスク T} S_IROTH 00004 他人の読み込み許可 S_IWOTH 00002 他人の書き込み許可 S_IXOTH 00001 他人の実行許可 .TE .in .P set\-group\-ID bit (\fBS_ISGID\fP) にはいくつかの特殊な使用法がある: ディレクトリに設定した場合には、そのディレクトリが BSD 方式で使用される ことを示す。つまり、そのディレクトリに作成されたファイルのグループID は 作成したプロセスの実効 (effective) グループID ではなく、ディレクトリの グループID を継承する。また、そのディレクトリに作成されたディレクトリにも \fBS_ISGID\fP ビットが設定される。グループ実行ビット (\fBS_IXGRP\fP) が設定されていないファイルに設定された場合は、 set\-group\-ID ビットはファイル/レコードの 強制的な (mandatory) ロックを表す。 .P .\" .\" ディレクトリにスティッキービット (S_ISVTX) が設定された場合は、 そのディレクトリのファイルの名前を変更したり、削除したりできるのは、 そのファイルの所有者か、そのディレクトリの所有者か、特権プロセス だけとなる。 .SS fstatat() \fBfstatat\fP() システムコールは \fBstat\fP() と全く同様に動作するが、以下で説明する点が異なる。 指定された \fIpathname\fP が相対パスの場合、 ファイルディスクリプター \fIdirfd\fP が参照するディレクトリに対する相対パスと解釈される (\fBstat\fP() に相対パスを渡した場合のように、呼び出したプロセスのカレントワーキングディレクトリに対する相対パスではない)。 \fIpathname\fP が相対パスで、 \fIdirfd\fP が特別な値 \fBAT_FDCWD\fP の場合、 (\fBstat\fP(2) と同様に) \fIpathname\fP は呼び出したプロセスのカレントワーキングディレクトリに対する相対パスと解釈される。 \fIpathname\fP で指定されたパス名が絶対パスの場合、 \fIdirfd\fP は無視される。 この \fIflags\fP 引き数は下記のフラグの 0 個以上の論理和を取ったものである: .TP \fBAT_EMPTY_PATH\fP (Linux 2.6.39 以降) .\" commit 65cfc6722361570bfe255698d9cd4dccaf47570d .\" Before glibc 2.16, defining _ATFILE_SOURCE sufficed \fIpathname\fP が空文字列の場合、 \fIdirfd\fP が参照するファイルに対して操作を行う (\fIdirfd\fP は \fBopen\fP(2) の \fBO_PATH\fP フラグを使って取得できる)。 \fBdirfd\fP が \fBAT_FDCWD\fP の場合、呼び出しはカレントワーキングディレクトリに対して操作を行う。 この場合、 \fIdirfd\fP は、ディレクトリだけでなく、任意のタイプのファイルを参照することができる。 このフラグは Linux 固有であり、その定義を得るには \fB_GNU_SOURCE\fP を定義すること。 .TP \fBAT_NO_AUTOMOUNT\fP (Linux 2.6.38 以降) .\" Before glibc 2.16, defining _ATFILE_SOURCE sufficed \fIpathname\fP がオートマウントポイントとなっているディレクトリの場合、 \fIpathname\fP の最終 ("basename") 要素のオートマウントを行わない。 これにより (マウントされるはずの場所ではなく) オートマウントポイントの属性を取得することができる。 このフラグを使うと、 ディレクトリをスキャンするツールがオートマウントポイントのディレクトリを大量にオートマウントしてしまうのを防ぐことができる。 マウントポイントがすでにマウントされている場合 \fBAT_NO_AUTOMOUNT\fP フラグは何の効果もない。 このフラグは Linux 固有であり、その定義を得るには \fB_GNU_SOURCE\fP を定義すること。 .TP \fBAT_SYMLINK_NOFOLLOW\fP (\fBlstat\fP() 同様) \fIpathname\fP がシンボリックリンクの場合リンクの展開を行わず、 リンク自身の情報を返す (デフォルトでは、 \fBfstatat\fP() は、 \fBstat\fP() と同様に、シンボリックリンクの展開を行う)。 .PP \fBfstatat\fP() の必要性についての説明については \fBopenat\fP(2) を参照。 .SH 返り値 成功した場合、0 が返される。 失敗した場合、 \-1 が返され、 \fIerrno\fP に適切な値がセットされる。 .SH エラー .TP \fBEACCES\fP \fIpathname\fP が所属するディレクトリとその上位のディレクトリのいずれかに 対する検索許可がなかった (\fBpath_resolution\fP(7) も参照のこと)。 .TP \fBEBADF\fP \fIfd\fP が不正である。 .TP \fBEFAULT\fP アドレスが間違っている。 .TP \fBELOOP\fP パスを辿る際に解決すべきシンボリックリンクが多過ぎた。 .TP \fBENAMETOOLONG\fP \fIpathname\fP が長過ぎる。 .TP \fBENOENT\fP \fIpathname\fP の構成要素が存在しないか、 \fIpathname\fP が空文字列である。 .TP \fBENOMEM\fP カーネルのメモリーが足りない。 .TP \fBENOTDIR\fP \fIpathname\fP の前半部分 (prefix) の構成要素がディレクトリではない。 .TP \fBEOVERFLOW\fP \fIpathname\fP または \fIfd\fP が、ファイルサイズ、inode 番号、ブロック数が それぞれ \fIoff_t\fP 型、 \fIino_t\fP 型、 \fIblkcnt_t\fP 型で表現できないファイルを 参照している。このエラーが起こるのは、例えば、32 ビットプラットフォーム上で \fI\-D_FILE_OFFSET_BITS=64\fP を指定せずにコンパイルされたアプリケーションが、 ファイルサイズが \fI(1<<31)\-1\fP バイトを超えるファイルに対して \fBstat\fP() を呼び出した場合である。 .PP \fBfstatat\fP() では以下のエラーも発生することがある。 .TP \fBEBADF\fP \fIdirfd\fP が有効なファイルディスクリプターでない。 .TP \fBEINVAL\fP \fIflags\fP に無効なフラグが指定された。 .TP \fBENOTDIR\fP \fIpathname\fP が相対パスで、 \fIdirfd\fP がディレクトリ以外のファイルを参照しているファイルディスクリプターである。 .SH バージョン \fBfstatat\fP() はカーネル 2.6.16 で Linux に追加された。 ライブラリによるサポートはバージョン 2.4 で glibc に追加された。 .SH 準拠 .\" SVr4 documents additional .\" .BR fstat () .\" error conditions EINTR, ENOLINK, and EOVERFLOW. SVr4 .\" documents additional .\" .BR stat () .\" and .\" .BR lstat () .\" error conditions EINTR, EMULTIHOP, ENOLINK, and EOVERFLOW. \fBstat\fP(), \fBfstat\fP(), \fBlstat\fP(): SVr4, 4.3BSD, POSIX.1\-2001, POSIX.1.2008. \fBfstatat\fP(): POSIX.1\-2008. POSIX.1\-2001 では、シンボリックリンクに対する \fBlstat\fP() で 有効な情報を返すように求められていたのは、 \fIstat\fP 構造体の \fIst_size\fP と \fIst_mode\fP のファイル種別要素だけであった。 POSIX.1\-2008 では規定が厳しくなり、 \fBlstat\fP() は \fIst_mode\fP の アクセス許可ビット以外の全てのフィールドに有効な情報を返すことが 求められるようになっている。 \fIst_blocks\fP と \fIst_blksize\fP フィールドの使用はあまり移植性がない (これらのフィールドは BSD によって導入された。 システムごとに解釈が 異なっており、 NFS マウントの場合には同じシステムでも異なる可能性がある)。 \fI\fP から \fIblkcnt_t\fP の \fIblksize_t\fP 型定義を 読み込みたい場合は、(\fIどの\fPヘッダーファイルをインクルードするよりも前に) \fB_XOPEN_SOURCE\fP を 500 以上の値で定義すること。 .LP POSIX.1\-1990 には \fBS_IFMT\fP, \fBS_IFSOCK\fP, \fBS_IFLNK\fP, \fBS_IFREG\fP, \fBS_IFBLK\fP, \fBS_IFDIR\fP, \fBS_IFCHR\fP, \fBS_IFIFO\fP, \fBS_ISVTX\fP 定数に関する 記述はなかったが、代わりに \fBS_ISDIR\fP() のようなマクロを使用するように 要求していた。 \fBS_IF*\fP 定数は POSIX.1\-2001 以降には存在する。 マクロ \fBS_ISLNK\fP() と \fBS_ISSOCK\fP() は POSIX.1\-1996 にはないが、 POSIX.1\-2001 には両方とも存在する。 前者は SVID 4 に、後者は SUSv2 に 由来している。 .LP UNIX\ V7 (とその後のシステム) は \fBS_IREAD\fP, \fBS_IWRITE\fP, \fBS_IEXEC\fP を持っており、 POSIX はその同義語として \fBS_IRUSR\fP, \fBS_IWUSR\fP, \fBS_IXUSR\fP を規定している。 .SS 他のシステム 各種システムで使用されていた(いる)値: .ad l .TS l l l l l. 16進 名前 ls 8進数 説明 f000 S_IFMT 170000 ファイル種別フィールドのビットマスク 0000 000000 T{ SCO では 使用不能 inode; BSD では不明なファイル種別; SVID\-v2 と XPG2 では 0 と 0100000 の両方が通常のファイル T} 1000 S_IFIFO p| 010000 FIFO (名前付きパイプ) 2000 S_IFCHR c 020000 キャラクター特殊ファイル (V7) 3000 S_IFMPC 030000 多重化されたキャラクター特殊ファイル (V7) 4000 S_IFDIR d/ 040000 ディレクトリ (V7) 5000 S_IFNAM 050000 T{ XENIX の二つの副型を持つ名前付きの特殊ファイル 副型は \fIst_rdev\fP の値 1, 2 で区別される T} 0001 S_INSEM s 000001 XENIX の IFNAM セマフォ副型 0002 S_INSHD m 000002 XENIX の IFNAM 共有データ副型 6000 S_IFBLK b 060000 ブロック特殊ファイル (V7) 7000 S_IFMPB 070000 多重化されたブロック特殊ファイル (V7) 8000 S_IFREG \- 100000 通常ファイル (V7) 9000 S_IFCMP 110000 VxFS 圧縮ファイル 9000 S_IFNWK n 110000 ネットワーク特殊ファイル (HP\-UX) a000 S_IFLNK l@ 120000 シンボリックリンク (BSD) b000 S_IFSHAD 130000 T{ Solaris の ACL 用の隠し inode (ユーザー空間からは見えない) T} c000 S_IFSOCK s= 140000 ソケット (BSD; VxFS の "S_IFSOC") d000 S_IFDOOR D> 150000 Solaris の door ファイル e000 S_IFWHT w% 160000 BSD の空白ファイル (inode を使用しない) 0200 S_ISVTX 001000 T{ スティッキービット: 使用後もスワップに残す (V7) .br 予約 (SVID\-v2) .br ディレクトリ以外: ファイルをキャッシュしない (SunOS) .br ディレクトリの場合: 削除制限フラグ (SVID\-v4.2) T} 0400 S_ISGID 002000 T{ 実行時の set\-group\-ID (V7) .br ディレクトリの場合: GID の伝搬に BSD 方式を使用する T} 0400 S_ENFMT 002000 T{ System V ファイルロックを強制する (S_ISGID と共有) T} 0800 S_ISUID 004000 実行時の set\-user\-ID (V7) 0800 S_CDF 004000 T{ ディレクトリがコンテキスト依存ファイル (HP\-UX) T} .TE .ad スティッキー コマンドは Version 32V AT&T UNIX で登場した。 .SH 注意 Linux では、 \fBlstat\fP() は一般には自動マウント動作 (automounter action) の きっかけとならないが、 \fBstat\fP() はきっかけとなる (\fBfstatat\fP(2) を参照)。 \fI/proc\fP ディレクトリ以下にあるファイルのほとんどでは、 \fBstat\fP() を呼び出した際に、 \fIst_size\fP フィールドにファイルサイズが返されない。 代わりに \fIst_size\fP フィールドには 0 が返される。 .SS タイムスタンプフィールド 古いカーネルや古い標準では、ナノ秒精度のタイムスタンプフィールドはサポートされていなかった。 代わりに 3 つの \fItime_t\fP 型のタイムスタンプフィールド \fIst_atime\fP, \fIst_mtime\fP, and \fIst_ctime\fP があった。これらのフィールドには 1 秒単位のタイムスタンプが記録されていた。 カーネル 2.5.48 以降では、 \fIstat\fP 構造体は 3 つのファイルのタイムスタンプ関連のフィールドでナノ秒単位の精度に対応している。 機能検査マクロ \fB_BSD_SOURCE\fP か \fB_SVID_SOURCE\fP が定義された場合に、各タイムスタンプのナノ秒の情報は \fIst_atim.tv_nsec\fP という形式の名前で参照できる。 ナノ秒のタイムスタンプは現在では標準化されており、 POSIX.1\-2008 からである。 バージョン 2.12 以降の glibc では、 \fB_POSIX_C_SOURCE\fP が 200809L 以上の値で定義されるか、 \fB_XOPEN_SOURCE\fP が 700 以上の値で定義された場合にも、 このナノ秒のタイムスタンプが公開される。 上記のマクロのいずれも定義されていない場合、ナノ秒の値は \fIst_atimensec\fP という形式の名前で公開される。 .\" commit ef7f38359ea8b3e9c7f2cae9a4d4935f55ca9e80 ナノ秒のタイムスタンプは XFS, JFS, Btrfs, ext4 でサポートされている (Linux 2.6.23 以降)。 ナノ秒のタイムスタンプは ext2, ext3, Reiserfs ではサポートされていない。 サブ秒のタイムスタンプをサポートしていないファイルシステムでは、 ナノ秒のフィールドには値 0 が入る。 .SS 背後のカーネルインターフェース .\" .\" A note from Andries Brouwer, July 2007 .\" .\" > Is the story not rather more complicated for some calls like .\" > stat(2)? .\" .\" Yes and no, mostly no. See /usr/include/sys/stat.h . .\" .\" The idea is here not so much that syscalls change, but that .\" the definitions of struct stat and of the types dev_t and mode_t change. .\" This means that libc (even if it does not call the kernel .\" but only calls some internal function) must know what the .\" format of dev_t or of struct stat is. .\" The communication between the application and libc goes via .\" the include file that defines a _STAT_VER and .\" _MKNOD_VER describing the layout of the data that user space .\" uses. Each (almost each) occurrence of stat() is replaced by .\" an occurrence of xstat() where the first parameter of xstat() .\" is this version number _STAT_VER. .\" .\" Now, also the definitions used by the kernel change. .\" But glibc copes with this in the standard way, and the .\" struct stat as returned by the kernel is repacked into .\" the struct stat as expected by the application. .\" Thus, _STAT_VER and this setup cater for the application-libc .\" interface, rather than the libc-kernel interface. .\" .\" (Note that the details depend on gcc being used as c compiler.) 時間の経過とともに、 \fIstat\fP 構造体のサイズが大きくなり、この影響で \fBstat\fP() には 3つのバージョンが存在する: \fIsys_stat\fP() (スロットは \fI__NR_oldstat\fP)、 \fIsys_newstat\fP() (スロットは \fI__NR_stat\fP)、 \fIsys_stat64\fP() (カーネル 2.4 で導入; スロットは \fI__NR_stat64\fP). glibc の \fBstat\fP() ラッパー関数はこれらの詳細をアプリケーションから隠蔽してくれる。 具体的には、カーネルが提供しているシステムコールのうち最新のバージョンを 起動し、古いバイナリの場合には必要に応じて返された情報を再構成 (repack) する。 \fBfstat\fP() と \fBlstat\fP() についても同様である。 glibc の \fBfstatat\fP() ラッパー関数が内部で利用するシステムコールは、実際には \fBfstatat64\fP() である。 .SH 例 以下のプログラムは \fBstat\fP() を呼び出し、返ってきた \fIstat\fP 構造体のフィールドのいくつかを表示する。 .nf #include #include #include #include #include int main(int argc, char *argv[]) { struct stat sb; if (argc != 2) { fprintf(stderr, "Usage: %s \en", argv[0]); exit(EXIT_FAILURE); } if (stat(argv[1], &sb) == \-1) { perror("stat"); exit(EXIT_FAILURE); } printf("File type: "); switch (sb.st_mode & S_IFMT) { case S_IFBLK: printf("block device\en"); break; case S_IFCHR: printf("character device\en"); break; case S_IFDIR: printf("directory\en"); break; case S_IFIFO: printf("FIFO/pipe\en"); break; case S_IFLNK: printf("symlink\en"); break; case S_IFREG: printf("regular file\en"); break; case S_IFSOCK: printf("socket\en"); break; default: printf("unknown?\en"); break; } printf("I\-node number: %ld\en", (long) sb.st_ino); printf("Mode: %lo (octal)\en", (unsigned long) sb.st_mode); printf("Link count: %ld\en", (long) sb.st_nlink); printf("Ownership: UID=%ld GID=%ld\en", (long) sb.st_uid, (long) sb.st_gid); printf("Preferred I/O block size: %ld bytes\en", (long) sb.st_blksize); printf("File size: %lld bytes\en", (long long) sb.st_size); printf("Blocks allocated: %lld\en", (long long) sb.st_blocks); printf("Last status change: %s", ctime(&sb.st_ctime)); printf("Last file access: %s", ctime(&sb.st_atime)); printf("Last file modification: %s", ctime(&sb.st_mtime)); exit(EXIT_SUCCESS); } .fi .SH 関連項目 \fBls\fP(1), \fBstat\fP(1), \fBaccess\fP(2), \fBchmod\fP(2), \fBchown\fP(2), \fBreadlink\fP(2), \fButime\fP(2), \fBcapabilities\fP(7), \fBsymlink\fP(7) .SH この文書について この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.79 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。