.\" This manpage is Copyright (C) 1992 Drew Eckhardt; .\" and Copyright (C) 1993 Michael Haardt, Ian Jackson. .\" and Copyright (C) 2004, 2006, 2007, 2014 Michael Kerrisk .\" .\" %%%LICENSE_START(VERBATIM) .\" Permission is granted to make and distribute verbatim copies of this .\" manual provided the copyright notice and this permission notice are .\" preserved on all copies. .\" .\" Permission is granted to copy and distribute modified versions of this .\" manual under the conditions for verbatim copying, provided that the .\" entire resulting derived work is distributed under the terms of a .\" permission notice identical to this one. .\" .\" Since the Linux kernel and libraries are constantly changing, this .\" manual page may be incorrect or out-of-date. The author(s) assume no .\" responsibility for errors or omissions, or for damages resulting from .\" the use of the information contained herein. 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Myers .\" Modified 1998-01-13 by Michael Haardt: .\" Using access is often insecure .\" Modified 2001-10-16 by aeb .\" Modified 2002-04-23 by Roger Luethi .\" Modified 2004-06-23 by Michael Kerrisk .\" 2007-06-10, mtk, various parts rewritten, and added BUGS section. .\" .\"******************************************************************* .\" .\" This file was generated with po4a. 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POSIX.1\-2001 では、 呼び出し元プロセスが適切な特権を持っている場合 (つまり、スーパーユーザーの場合)、 たとえファイルの実行許可ビットが全くセットされていなくても \fBX_OK\fP のチェックとして成功を返す実装が認められている。 Linux はこのようにはなっていない。 .PP \fIpathname\fP のプレフィックスを構成するディレクトリの全てに対して 検索アクセス (すなわち、実行アクセス) が許可された場合にのみ、 ファイルはアクセス可能となる。 いずれかのディレクトリがアクセス不可の場合、 ファイル自身のアクセス許可に関わらず、 \fBaccess\fP() は失敗する。 .PP アクセスビットのみがチェックされ、ファイルの種類や内容はチェックされない。 従って、ディレクトリが書き込み可能となった場合は、ディレクトリに ファイルを作成することが可能なことを意味するのであり、ディレクトリに ファイルとして書き込むことができるわけではない。 同様に DOS のファイルは「実行可能」と判断されるが、 \fBexecve\fP(2) コールは失敗するだろう。 .PP .\" .\" これらのシステムコールは、 UID マッピングを使用した NFSv2 ファイルシステムでは正常に機能しないかもしれない。なぜならば UID のマッピングはサーバーで 行なわれ、権利のチェックをするクライアントには見えないからである。 (NFS バージョン 3 以降ではサーバー側でチェックが実行される。) 同様の問題は FUSE マウントでも起こり得る。 .SS "C ライブラリとカーネル ABI の違い" 生の \fBfaccessat\fP() システムコールは、最初の 3 つの引き数だけを取る。フラグ \fBAT_EACCESS\fP と \fBAT_SYMLINK_NOFOLLOW\fP は実際には \fBfaccessat\fP() の glibc のラッパー関数内で実装されている。これらのフラグのいずれかが指定された場合、ラッパー関数は \fBfstatat\fP(2) を使ってアクセス許可の判定を行う。 .SS "glibc での注意" \fBfaccessat\fP() が利用できない古いカーネルでは、(フラグ \fBAT_EACCESS\fP と \fBAT_SYMLINK_NOFOLLOW\fP が指定されていない場合) glibc ラッパー関数は \fBaccess\fP() を使用するモードにフォールバックする。 \fIpathname\fP が相対パスの場合、 glibc は \fIdirfd\fP 引き数に対応する \fI/proc/self/fd\fP のシンボリックリンクに基づいてパス名を構成する。 .SH バグ .\" This behavior appears to have been an implementation accident. バージョン 2.4 (とそれ以前) のカーネルには、スーパーユーザーでの \fBX_OK\fP のチェックの扱いに奇妙な点がある。 ディレクトリ以外のファイルで (ユーザー、グループ、他人の) 全てのカテゴリーについて 実行許可がない場合、 \fBaccess\fP() のチェックで \-1 が返るのは \fImode\fP に \fBX_OK\fP だけが指定されたときだけであり \fImode\fP に \fBR_OK\fP や \fBW_OK\fP が一緒に指定された場合には \fBaccess\fP() は 0 を返す。 (バージョン 2.6.3 以前の) 初期の 2.6 系のカーネルも 2.4 系のカーネルと同様の動作をする。 2.6.20 より前のカーネルでは、 これらのシステムコールはファイルが存在するファイルシステムを \fBmount\fP(2) する際に指定された \fBMS_NOEXEC\fP フラグの効果を無視していた。 カーネル 2.6.20 以降では、 \fBMS_NOEXEC\fP フラグは考慮されるようになっている。 .SH 関連項目 \fBchmod\fP(2), \fBchown\fP(2), \fBopen\fP(2), \fBsetgid\fP(2), \fBsetuid\fP(2), \fBstat\fP(2), \fBeuidaccess\fP(3), \fBcredentials\fP(7), \fBpath_resolution\fP(7), \fBsymlink\fP(7) .SH この文書について この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.79 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。