.\" This manpage is Copyright (C) 1992 Drew Eckhardt; .\" and Copyright (C) 1993 Michael Haardt, Ian Jackson. .\" and Copyright (C) 2007 Michael Kerrisk .\" .\" %%%LICENSE_START(VERBATIM) .\" Permission is granted to make and distribute verbatim copies of this .\" manual provided the copyright notice and this permission notice are .\" preserved on all copies. .\" .\" Permission is granted to copy and distribute modified versions of this .\" manual under the conditions for verbatim copying, provided that the .\" entire resulting derived work is distributed under the terms of a .\" permission notice identical to this one. .\" .\" Since the Linux kernel and libraries are constantly changing, this .\" manual page may be incorrect or out-of-date. The author(s) assume no .\" responsibility for errors or omissions, or for damages resulting from .\" the use of the information contained herein. The author(s) may not .\" have taken the same level of care in the production of this manual, .\" which is licensed free of charge, as they might when working .\" professionally. .\" .\" Formatted or processed versions of this manual, if unaccompanied by .\" the source, must acknowledge the copyright and authors of this work. .\" %%%LICENSE_END .\" .\" Modified Sat Jul 24 13:35:59 1993 by Rik Faith .\" Modified Sun Nov 28 17:19:01 1993 by Rik Faith .\" Modified Sat Jan 13 12:58:08 1996 by Michael Haardt .\" .\" Modified Sun Jul 21 18:59:33 1996 by Andries Brouwer .\" 2001-12-13 added remark by Zack Weinberg .\" 2007-06-18 mtk: .\" Added details about seekable files and file offset. .\" Noted that write() may write less than 'count' bytes, and .\" gave some examples of why this might occur. .\" Noted what happens if write() is interrupted by a signal. .\" .\"******************************************************************* .\" .\" This file was generated with po4a. 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SVr4, 4.3BSD, POSIX.1\-2001. SVr4 では write が割り込まれると、データが書き込まれる直前ではなく、 その時点で \fBEINTR\fP が返る。 .SH 注意 \fBwrite\fP() が成功して返ってきても、データがディスクに記録されたことを 保証するものではない。 実際、データのためのスペースが確保されたことすら保証されないという バグっぽい実装もある。 これを確実にする唯一の方法は、 全てのデータを write した後に \fBfsync\fP(2) を呼び出すことである。 \fBwrite\fP() が 1 バイトも書き込まないうちにシグナルハンドラーにより割り込まれた場合、 \fBwrite\fP() はエラー \fBEINTR\fP で失敗する。 1バイトでも書き込んだ後で割り込まれた場合には、 \fBwrite\fP() は成功し、書き込んだバイト数を返す。 .SH バグ POSIX.1\-2008/SUSv4 セクション XSI 2.9.7 ("Thread Interactions with Regular File Operations") によると、 .RS 4 以下のすべての関数では、 通常ファイルもしくはシンボリックリンクに対する操作では POSIX.1\-2008 で規定された効果が互いにアトミックに行われなければならない: ... .RE .\" http://thread.gmane.org/gmane.linux.kernel/1649458 .\" From: Michael Kerrisk (man-pages gmail.com> .\" Subject: Update of file offset on write() etc. is non-atomic with I/O .\" Date: 2014-02-17 15:41:37 GMT .\" Newsgroups: gmane.linux.kernel, gmane.linux.file-systems .\" commit 9c225f2655e36a470c4f58dbbc99244c5fc7f2d4 .\" Author: Linus Torvalds .\" Date: Mon Mar 3 09:36:58 2014 -0800 .\" .\" vfs: atomic f_pos accesses as per POSIX この後に書かれている API の中に \fBwrite\fP() と \fBwritev\fP(2) である。 スレッド(やプロセス) 間でアトミックに適用することが求められる効果の一つとして、 ファイルオフセットの更新がある。 しかしながら、 バージョン 3.14 より前の Linux では、 この限りではない。 オープンファイル記述 (open file description) を共有する 2 つのプロセスが同時に \fBwrite\fP() (や \fBwritev\fP(2)) を実行した場合、 この I/O 操作ではファイルオフセットの更新に関してはアトミックではなく、 2 つのプロセスから出力されるデータブロックが (間違って) 重なる可能性がある。 この問題は Linux 3.14 で修正された。 .SH 関連項目 \fBclose\fP(2), \fBfcntl\fP(2), \fBfsync\fP(2), \fBioctl\fP(2), \fBlseek\fP(2), \fBopen\fP(2), \fBpwrite\fP(2), \fBread\fP(2), \fBselect\fP(2), \fBwritev\fP(2), \fBfwrite\fP(3) .SH この文書について この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.79 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。