.\" Copyright (C), 1995, Graeme W. Wilford. (Wilf.) .\" .\" %%%LICENSE_START(VERBATIM) .\" Permission is granted to make and distribute verbatim copies of this .\" manual provided the copyright notice and this permission notice are .\" preserved on all copies. .\" .\" Permission is granted to copy and distribute modified versions of this .\" manual under the conditions for verbatim copying, provided that the .\" entire resulting derived work is distributed under the terms of a .\" permission notice identical to this one. .\" .\" Since the Linux kernel and libraries are constantly changing, this .\" manual page may be incorrect or out-of-date. The author(s) assume no .\" responsibility for errors or omissions, or for damages resulting from .\" the use of the information contained herein. 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regoff_t rm_eo; } regmatch_t; .fi .in 構造体要素 \fIrm_so\fP の値が \-1 でない場合、それは文字列内での次の最大のマッチング部分の開始 オフセット位置を示す。それに対し、構造体要素 \fIrm_eo\fP はマッチング部分の終了オフセット位置を示し、 マッチング部分の直後の文字のオフセット位置が使用される。 .SS "POSIX エラーレポート" \fBregerror\fP() は、 \fBregcomp\fP() と \fBregexec\fP() の実行によって得られるエラーコードから、エラーメッセージ文字列を 得るのに用いられる。 \fBregerror\fP() はエラーコード \fIerrcode\fP、 パターンバッファー \fIpreg\fP、 文字列バッファーへのポインター \fIerrbuf\fP、 文字列バッファーのサイズ \fIerrbuf_size\fP を引数にとる。 この関数は、ヌル文字で終端されたエラーメッセージ文字列を格納するのに必要な \fIerrbuf\fP のサイズを返す。もし \fIerrbuf\fP と \fIerrbuf_size\fP の両方が非 0 値であれば、 \fIerrbuf\fP には最初の \fIerrbuf_size \- 1\fP 文字分にエラーメッセージと終端のヌルバイト (\(aq\e0\(aq) が収まるように代入される。 .SS "POSIX パターンバッファー解放" 引数にコンパイルされたパターンバッファー \fIpreg\fP を与えて \fBregfree\fP() を呼び出すと、 \fBregcomp\fP() によるコンパイル時にパターンバッファーに割り当てられたメモリーが解放される。 .SH 返り値 \fBregcomp\fP() は、コンパイルの成功時には 0 を返し、失敗時にはエラーコードを返す。 \fBregexec\fP() は、マッチングの成功時には 0 を返し、失敗時には \fBREG_NOMATCH\fP を返す。 .SH エラー \fBregcomp\fP() は以下のエラーを返す。 .TP \fBREG_BADBR\fP 無効な後方参照オペレータの使用。 .TP \fBREG_BADPAT\fP グループやリストなどの、パターンオペレータの無効な使用。 .TP \fBREG_BADRPT\fP \(aq*\(aq が最初の文字としてくるような、無効な繰り返しオペレータの使用。 .TP \fBREG_EBRACE\fP インターバルオペレータ \fB{}\fP (brace interval operators) が閉じていない。 .TP \fBREG_EBRACK\fP リストオペレータ \fB[]\fP (bracket list operators) が閉じていない。 .TP \fBREG_ECOLLATE\fP 照合順序の要素 (collating element) として有効ではない。 (訳注) 詳細は \fBregex\fP(7) を参照。 .TP \fBREG_ECTYPE\fP 未知のキャラクタークラス名。 .TP \fBREG_EEND\fP 未定義エラー。これは POSIX.2 には定義されていない。 .TP \fBREG_EESCAPE\fP 正規表現がバックスラッシュで終っている。 .TP \fBREG_EPAREN\fP グループオペレータ \fB()\fP (parenthesis group operators) が閉じていない。 .TP \fBREG_ERANGE\fP 無効な範囲オペレータの使用。 例えば、範囲の終了位置が開始位置よりも前にあるような場合。 .TP \fBREG_ESIZE\fP 正規表現のコンパイルに、64Kb 以上のパターンバッファーが必要。 これは POSIX.2 には定義されていない。 .TP \fBREG_ESPACE\fP regex ルーチンがメモリーを使いはたしている。 .TP \fBREG_ESUBREG\fP サブエクスプレッション \e\fB(...\e\fP) (subexpression) への無効な後方参照。 .SH 準拠 POSIX.1\-2001. .SH 関連項目 \fBgrep\fP(1), \fBregex\fP(7) .br glibc マニュアルのセクション \fIRegular Expression Matching\fP .SH この文書について この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.79 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。